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 「BNPL(Buy Now, Pay Later)」というキーワードが世界で急速に市民権を得つつある。日本語で簡潔に表せば「後払い」ということになるが、BNPLが具体的に意味するのは「クレジットカードではない後払いの手段」であり、分割払い(多くの場合は4回)のオプションが指定できるという点に特徴がある。

 日本人の感覚からすれば「クレジットカードと何が違うの?」と思われるかもしれない。米国を例にとってBNPLの利便性を見ていこう。

 米国におけるクレジットカードは、日本のそれと2点ほど機能的な違いがある。1つはミニマムペイメントが基本のリボ払いであり、早期に自力返済すればするほど手数料が安くなる(場合によっては手数料がゼロになる)こと。もう1つは与信の設定が厳しく、高額な買い物をしづらいほか、与信枠を使い切ってしまう利用者が少なくないという事実だ。

 一方、BNPLであればクレジットカードと別に与信枠が設定されるほか、手数料は店舗が負担してくれる。おまけに一括払いや銀行口座からの即時引き落としではなく、返済能力に合わせて分割払いオプションを選択できるメリットがある。ゆえに米国をはじめとする海外では、近年急速にBNPLのサービスの認知と利用が進みつつある。小売店もそのトレンドに合わせて、クレジットカードなどとは別の支払い手段としてBNPLを導入する例が増えつつあるのだ。

 このトレンドを象徴するのが、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが2020年12月30日付で紹介したBNPLの記事だ。同記事では、BNPL関連サービスを提供する米Affirm Holdings(アファーム・ホールディングス)、オーストラリアAfterpay(アフターペイ)、スウェーデンKlarna(クラーナ)といった企業の利用ユーザー数が2020年の1年間で急増したこと、特に同年末のホリデーシーズン商戦においては利用金額が前年同月比で2倍以上のペースで増加したと報じている。

 こうしたトレンドの背景に、新型コロナウイルスのまん延による人々の購買行動の変化があることは間違いないだろう。現金、クレジットカード(デビットカード)に次ぐ第3の支払い手段としてのBNPLの市場が米欧豪などで拡大しつつあることがうかがえる。

新型コロナ禍突入前の2019年冬の米国ニューヨーク市内にあるヘラルドスクエア周辺の風景
新型コロナ禍突入前の2019年冬の米国ニューヨーク市内にあるヘラルドスクエア周辺の風景
(撮影:鈴木 淳也)
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