米国の金融業界カンファレンスとしては最大規模の「Money20/20 USA」が2022年も10月23~26日の会期で開催された。2020年は新型コロナウイルス禍もありオンラインのみでの実施にとどまったが、2021年は開催フォーマットを大きく変更してリアル会場での展示会と講演を復活させている。各国の渡航制限もあり参加者や展示者は米国が中心で、その規模もこじんまりとしたものだったが、今年は最盛期ほどではないものの世界各国からの来場者が見られるようになり、会場でも多くの日本人を見かけている。
以前のMoney20/20では、大手金融企業や著名IT企業が新サービスや戦略を大々的にアピールする場の1つとして活用していた。近年はスタートアップ支援、FinTechによる新サービスの発掘、政府関係者を招いた法整備に関する話題など、より業界全体のバックアップという位置付けが強くなり、今年はそれがより顕著となった。会期中に語られたトピックについては本連載のなかでおいおいフォローしていくとして、今回は展示会場で見かけたAmazonの「Just Walk Out」について触れたい。
Just Walk Outを採用した非Amazon店舗、2021年に初登場
Just Walk Outは、いわゆる「無人レジ店舗(もしくは無人決済店舗)」の先駆けともいえるものだ。同技術を採用した「Amazon Go」の1号店が米ワシントン州シアトルに2018年1月に一般開放されて以降、世界中で同様のフォロワーを生み出している。海外における無人レジ店舗の現状については以前にレポートした通りだが、Amazon Goの現状について改めて復習しておくと、米国内ではAmazon本社のあるシアトルをはじめ、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、ロサンゼルスの大まかに5つのエリアに27店舗が展開されている。
関連記事 無人レジ店舗で海外諸国が目指すもの、そして日本の行方バリエーションとしてStarbucksのモバイルオーダー専門店「Starbucks Pickup」と合体した店舗がニューヨークのマンハッタン内に存在するほか、「Amazon Fresh」という生鮮食品を取り扱うスーパーマーケット業態の店舗がシアトル都市圏に4店舗ある。米国外では英ロンドンにJust Walk Outを採用したAmazon店舗がAmazon Freshの名称で14店舗存在し、米国外では唯一の展開エリアとなる。