暗号資産にブロックチェーン、APIエコノミー、スマートフォン決済…。野村証券などを経てマネーフォワードの設立に参画した著者が、金融分野で加速するデジタル技術革新の本質を読み解く。

瀧俊雄のFinTech最前線
目次
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「デジタル島」に登場した新たなインフラ企業の正体
近年、日本には北海道、本州、四国、九州の四島に加え、雲の上にデジタルな島が出現した。リモートワークをするときには本州の自宅を後にし、日中はデジタル島の職場で過ごす。
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アップルのFinTech買収で浮かび上がる未来
今年3月、米Apple(アップル)が手掛けてきた2つの買収がニュースとなった。1つは、2021年に落札した映画「CODA」(国内未配信)。もう1つが、英国のFinTech企業であるCredit Kudosだ。
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春を過ぎたBNPL、脱皮への試金石は消費者保護と料率の低下圧力
米国において、一時期熱狂的に盛り上がったBNPLへの期待が急速に冷え込みはじめた。同国の代表的プレーヤーであった米Affirm(アファーム)の株価は、本稿執筆時で2021年11月のピークから4分の1に下落している。
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米小売企業から学ぶ、FinTechの生かし方
世界最大の小売業である米Walmart(ウォルマート)がFinTechの取り組みを劇的に加速させている。ステーブルコインの開発やメタバースへの参入をほのめかす動きをみせており、FinTech企業2社の買収も公表した。
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金融産業に問われる格差と向き合う意思、FinTechの存在意義を改めて考えた
資産や収入がないだけで本来享受すべき金融サービスが得られない状況が存在することは、金融産業においてほぼ恒久的に横たわる課題だ。FinTechにとって、この問いはレゾンデートルにも近い。
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BaaSが当たり前となった米銀が露出を避ける不思議
日本であれば、最大手のFinTech事業者とのパートナーシップは大々的にアピールされそうなものだが、米国のBaaSに関しては今のところ、粛々と、もしくはサイレントに協業が進むという不思議な状態が発生している。
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中南米で銀行を上回る体験を作り上げたNuBankという革命
ブラジルを中心に口座やクレジットカードを提供するNuBank。ラテンアメリカという潜在的に巨大なマーケットをターゲットとしたFinTech企業の代表格という存在感もあり、その動向は大きな注目を集めている。
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銀行APIの熱気が渦巻くアジア、先行していた日本が今学ぶべき理由
世界中でオープンバンキングの機運が高まるなか、今年に入って東南アジアでも、その兆しが顕著になってきた。象徴的なのが、インドネシア中央銀行による「SNAP(同国におけるオープンAPI標準仕様の略称)」の制定と標準QRコード仕様の公開である。
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「金融行政方針」から読み解く、FinTech産業の足腰の鍛え方
金融庁が2021年8月31日、「2021事務年度金融行政方針」を公表した。毎年夏(もしくは秋)に同方針が出るたびに、記載内容に関するFinTech業界の反省と宿題は何だろうかと考えている。
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英国のスーパーマーケット系銀行に訪れる黄昏、逆風の背後に見る変化
英国最大手のスーパーマーケットチェーンであるテスコ(Tesco)の子会社テスコ・バンク(Tesco Bank)が、流動性預金の口座提供を閉鎖すると公表した。日本でいう普通預金口座の提供を中止するのは思い切った動きだ。
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米国で巻き起こる信用情報機関の廃止論、オバマ政権と重なる政府への期待
米国がバイデン政権に移行して以降、議論が白熱しているのが信用情報機関の在り方だ。バイデン大統領は民間3社の寡占状態にある米国の信用情報機関について、公的な機関を発足することで代替する政策案に意欲を示してきた。
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注目集めるAI規制、米国の信用スコアに日本人が抱く違和感の正体
欧州においては、AIによって自然人が勝手にスコアリングされることへの警戒心が強い。だが信用スコアの議論に限っていえば、米国が数十年も先行してきたのが実態だ。
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ライバル増への危機感と攻めの姿勢、話題の金融リポートに垣間見た英国の強さ
これはベンチャー振興政策というよりは、通商と労働力確保のための政策なのではないか――。前回紹介した「カリファ・レビュー」を初めて読んだ際、筆者はこんな感想を持った。
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英国で話題のリポートにあふれる「我がこと感」、日本のFinTech行政も学びたい
英国のFinTech行政は多くの先駆的な推進策を実行に移してきた。今回は、同国で話題のリポート「カリファ・レビュー」を軸に、国として考えるべき促進策を学びたい。
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FinTechは脱炭素社会に貢献するか、無味乾燥な金融に緑色を持ち込むススメ
二酸化炭素(CO2)の排出量実質ゼロを目指すに当たっての辛辣なリアリティと、それでも捨てるべきではない希望――。ビル・ゲイツ氏の新著“How to Avoid a Climate Disaster”は、示唆にあふれる1冊だ。
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テック企業を加速させる「SPAC」の妙味、バブルのあだ花批判は本当か
SPACとは、株式会社の形態をとるが、上場時に資金調達をするものの、18カ月以内に事業の買収を行うか、資金を返還するかが求められているプロジェクトのこと。SPACの存在が、テック業界の上場事情を変え始めている。
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「FinTechが金融機能をどう変えるか」、5年前の答え合わせをしよう
2015年、「マネーフォワード Fintech研究所」を設立するに当たり、個人的によりどころとしたのは、「Fintechが個別の機能をどう変えるか」という点だった。おりしも金融庁内で勉強会をする機会があり、その分析を共有する機会に恵まれた。
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新機軸を打ち出した「グーグルペイ」は無敵なのか、そのインパクトを検証する
米アルファベットが「グーグルペイ」の新戦略を明らかにした。注目されるのは、家計簿機能や銀行口座の提供という新機軸を打ち出した点だ。新しいグーグルペイがもたらすインパクトについて分析する。
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「APIは21世紀のATM」、電子マネーの安全確保に向けてさらなる整備を
5年後、10年後、我々が現金の代わりに手にしているのは何だろうか。現実的には、銀行口座から電子マネーをチャージして現金の代わりに決済や送金で利用していくことが、やはり王道ではないだろうか。
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金融産業のDXに立ちはだかる、インターネットバンキングの高い壁
8月の本コラムで取り上げた“DX進化論”について、様々な感想を頂いた。だが、DXが難解なものに映ってしまったとすれば本望ではない。今回はそれを柔らかく捉え直しつつ、FinTechを取り巻く最大の課題に触れたい。