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 今年5月、日本がゴールデンウイークを迎えているさなか、海の向こう側では大手FinTech企業同士が一悶着(ひともんちゃく)を起こしていた。登場人物は、アカウントアグリゲーション最大手の米Plaid(プラッド)と、前回の記事でも取り上げたデジタル島のインフラ企業である米Stripe(ストライプ)だ。

「デジタル島」に登場した新たなインフラ企業の正体

 プラッドは口座データの連携に加えて、初期の入金や本人確認を支援するサービスを提供しており、新たなFinTechサービスを開発するには欠かせない事業者の位置づけにある。一方のストライプは、インターネット上でサービスを売る、というシーンにとことん尽くすサービス群を、使いやすい形で用意する会社だ。

 両社とも基本的には自身は金融サービスを手掛けず、金融機関とアプリケーションの間をつなぐ、いわゆる「イネーブラー」の役割を果たす存在といえる。

 このイネーブラーの両雄が微妙に衝突した。

 2022年5月5日、ストライプは「Financial Connections」という、金融機関口座の本人確認や入金機能を簡単に実装できるサービスのローンチを発表した。プラッドと正面から競合するサービスである。

 このローンチが、単なる発表で終わったのであれば良かった。だが、プラッド創業者のザッカリー・ペレット氏がツイッターで、ストライプの当該事業責任者のツイートに、「すごいな。この数年、うちの採用面接を受けて突っ込んだ質問をしたり、何度も秘密保持契約(NDA)を結んだ上でRFPも受け取ったりして、当社の詳細データを求めてきたよね。新たなサービスがんばってね。そのやり方については驚いたけど(意訳)」とリプライしたことで、騒動に発展した。

 その後、ペレット氏はツイートを含む訴えを取り下げているが、さまざまな情報を総合すると、もともと両社は協業による機能提供を検討していたものの、ストライプは最終的にアグリゲーションを実施するパートナーとして、米Finicity(フィニシティ)と米MX Technologiesを選んだということのようだ。

 筆者が騒動をみていて驚いたのは、王者であるプラッドのサービスが価格面や接続の安定性、開発のしやすさの面で不満を持たれているという意見があったことだ。