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 新型コロナウイルス感染症の流行によって、日本ではテレワーク(リモートワーク)が広がっている。大部分の時間を自宅、もしくはオフィス以外の場所で過ごすITエンジニアは増えているだろう。

 この状況において、エンジニアを部下に持つマネジャーはどうあるべきか。今回は、マネジメント側の視点から大切にすべきことを3つ述べたい。

「察知する」から「言葉で伝える」へ

 まずは、マネジメントにおけるプロトコル(部下とのやりとりの方法や手順)の再設計について考えてみよう。

 テレワークによって上司と部下のコミュニケーションはどのように変化したのだろうか。直接会っている状態と、異なる場所にいる状態で仕事をすることの違いを考えると課題が見えてくるはずだ。

 ご存じの通り、人間には五感がある。視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚のうち、離れた人同士がITを利用して仕事をする場合、現時点では触覚、嗅覚、味覚が遮断されてしまう。Web会議ツールを介して対面する場合も、光の当たり方や環境によって顔色などが変わって見えたり、声の調子がいつもと異なるように聞こえたりすることがある。人間の体にはフィルターをかけて知覚を補正する機能もあるため、その影響で錯視などが起こってしまう可能性もある。

 このように、「人を認識する」うえで3つの知覚が遮断され、残る視覚や聴覚においても解像度が下がったり、錯視を起こしたりすることがある。つまりインプット情報が減ったり、誤った情報が入ってきたりすることになる。

 人は普段、さまざまな感覚を利用して相手の体調や気分を察知している。「顔色が悪い」という表現があることからも、それが分かるだろう。インプット情報が少なくなったり、誤りが混入したりした場合、今まで保有していた「統合感覚」が正常に作動しなくなる。統合感覚とはさまざまな感覚を通じて得られた情報を統合して何かを認識する感覚のことで、いわば学習モデルのようなものである。

 この変化に気づくことこそが、テレワーク環境下のマネジメントにおいて大きなポイントになる。これを私は「マネジメントプロトコルの変化」と呼んでいる。今まで得られたリクエストパラメーターの値が無くなったり、誤りが入ってきたり、浮動小数情報が整数になったりしたような感覚といえば、理解しやすいエンジニアもいるかもしれない。