全3634文字

 今回の記事を書くにあたって2021年の予測を考えてみた。結論を先に書くと2020年に引き続き不確実性が高すぎて、よく分からないという結論に至った。よく分からないことこそがインターネットの魅力だという意味である。

 2020年は新型コロナウイルスの問題が大きくなって予測不可能な展開に追い込まれた。現時点の国内においても、都市部で第三波による緊急事態宣言が行われている。米国ではドナルド・トランプ大統領に関して、Twitter(ツイッター)がトランプ大統領のアカウントを「BAN」したり、Google(グーグル)やApple(アップル)がトランプ支持者が利用しているSNSの「Parler(パーラー)」のアプリ配信を停止したりした。PerlerをホストしているAWSも、利用規約違反でサービス提供を停止するなど、世界情勢の変化にWebサービスが巻き込まれている。

 今のWeb系のスタートアップやベンチャー企業が成長している要因として、10年前のインターネットの状況とは違う要素が存在する点を無視できない。筆者が勤めるBASEも同様だ。20年前から群雄割拠だったEC(電子商取引)の分野で後発ながらも顧客に支持されている理由として、モバイルの台頭でインターネットの利用環境が変わり、多くの人がモバイルとSNSを起点にインターネットを使うようになったことが否めない。つまり、従来の老舗サービスが興り成長したタイミングではそれほど魅力的ではなかったモバイルというタッチポイントが急成長したからこそ、そのタイミングで市場に食い込んだ会社が成長したと考えることができる。

多様化したインフルエンサーの意義

 YouTuberやインスタグラマー、さらにBASEを使っていただくお店もそうだが、昨今、インターネットを活用して成功するケースの多くはSNSの活用に成功している。今ほどネットユーザーの多様性が注目されなかった時期は、ソーシャルメディアを活用するインフルエンサーの多様性も影響度もさほど高くなかった。従来も代表的なインフルエンサーなどと言われてメディアのインタビューに答えている人が存在していたが、代表的な人を指名できるということは結果として対象世界の狭さを示していたのだと思う。

 今となってはインフルエンサーは格段に多様化している。自分の知らない人がマイクロインフルエンサーとして、配信アプリやインスタグラム、ブログサービスなどのそれぞれのメディアで支持を集めたり生計を立てたりして、個人がネットで活躍する可能性が広がった。BASEのサービスとしても、BASEを活用しているお店を探すことが難しいことは特徴である。多数のEC店舗が集まったモールという分かりやすい形態に依存しておらず、ランキングで序列化していないことが挙げられる。

 Twitterやインスタグラムのユーザーの面白いところとして、1つのアカウントに自分のアイデンティティーを全ては出さずに、様々なサービスへ適切に出し分けしている点が挙げられる。アイドルなどにとどまらず、飲食店の店員やお店の店長などそれぞれの立場に根ざしたアイデンティティーを使い分け、直接ファンとつながってリアルな集客に寄与している姿も増えた。かつてO2O(オンライン・ツー・オフライン)と言われた領域に近い概念が、人と人とのつながりを通じてロングテールネットワークを形成し、多様性のある形でスモールビジネスに寄与しているのは非常に興味深い。