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 「Webを活用したビジネスを立ち上げるにはどうしたらいいだろうか」

 先日、友人からこんな相談を受けた。その友人はITの専門家ではないので、システムをどう開発すべきか、開発にはどういう人材が必要かなど、基本的な疑問をぶつけてきた。筆者が話し合った内容は、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現手段に関する議論にも通じる。

 こういう話をする際に議論になるのが、ソフトウエア開発に必要な人員を手当てする方策である。具体的には社内にIT人材を抱えて自ら開発するか、外部のシステム会社に開発を発注するかだ。友人からの相談を機に改めて考えを整理した。

 内製か外注か。今回はDXを実践する際に必ず突き当たるこの疑問に対する、筆者なりの考えを述べたいと思う。

内製人員は自社のコアバリュー強化に専念すべし

 まず内製について考えてみる。インターネットにつながっているシステムは、デジタルの世界における生き物のようなものだと考えてほしい。顕著なのがセキュリティーだ。いつ新しい脅威が生まれるか分からない。インターネットの向こうからやってくる以上、明日現れるかもしれない新しい問題にアンテナを張り、即座に対応するチームを維持する必要がある。

 自分たちのサービスのソースコードやシステム構成を熟知し、さまざまな脅威の影響を分析し切り分けるためのチームが必要である。この意味でWebサービスを提供し続けることには一定のハードルがある。

 ユーザーに使い続けてもらうために、UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)を常に改善し続けるための体制も必要だ。最初に作ったシステムが顧客にとって正解である可能性は著しく低いのが、ネットサービスの定説である。むしろ最初の設計は新しい問題を見つけるための投資だと割り切り、よりよいシステムを作るために改善し続ける必要がある。

 受託開発の一回の設計で正解を導き出すのは難しい。受託開発のプロも動くシステムを作ってくれるが、そのアウトプットが適切な売り上げを上げるための正解だと保証はしてくれない。答えは誰にも分からないからである。考え続けて、改善し続けた先に答えが見つかる。その組織を作れないなら、Webサービスの提供はやめておいたほうがいい。

外注は餅は餅屋を常に意識すべし

 外注についてはどうか。現在の著名な重責を担っているWebサービスは何らかの形でクラウドサービスを利用している。スタートアップ企業ならAmazon Web Services(AWS)を使うことが多い。

 クラウドを使うのはサービス運営の基盤技術を外注しているようなものである。AWSのAPIを通じてリソースをコントロールし、使った分だけ料金を支払う。つまりAWSのビジネスそのものがデジタルトランスフォーメーションによる外注先と考えるのが良いだろう。サーバーやデータベースにとどまらず、ユーザー認証、暗号化情報の管理や検索エンジン、機械学習などアプリケーションで活用する機能を汎用化された形で誰でも簡単に使うことができる。