在宅勤務で従業員が顔を合わせられない状況が続いている。マネジャーはメンバーに異変はないか様々な方法で把握しなければならない。日ごろからメンバーとコミュニケーションを図りながら仮説を立て、大丈夫か大丈夫かと考え続けるのがマネジャーの使命と言える。テレワーク時代の人材マネジメントには、技術マネジメントにも通じるものがある。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために専門家会議から「新しい生活様式」が発表された。テレワークやローテーション勤務、会議はオンラインなどの働き方が提案されている。緊急事態宣言が解除されてオフィスに通勤できるようになっても、引き続き感染拡大の可能性があるため、いつ改めて緊急事態宣言が発令されてもおかしくない状況は続く。長丁場に備えてテレワークや時差通勤を使いながら、密にならないオフィスの使い方などの模索は引き続き求められるだろう。
アフターコロナはまだまだ時間がかかりそうだが、アフター緊急事態宣言への備えは、まさに今問われている。
オフィスの3密を避ける要となるビデオ会議
テレワークを成功させる要は、チャットツールではなくビデオ会議である。複数人によるビデオ会議はZoomやGoogle Meet、Microsoft Teamsなど様々な手段がある。ここへ来てFacebookも参戦するなど熱い市場になりつつある。
SlackやChatworkなどのチャットツールによるテキストコニュニケーションがテレワークを支えるが、成功の要はビデオ会議である。テキストコミュニケーションを使って意思疎通は、書き手の文章力と読み手の文章読解力がそろって初めて可能になる。非同期でやりとりできるので時間や場所にとらわれずコミュニケーションできるメリットがある。一方でテレワークで重要な意思決定をしたり、人の気持ちをくみ取ったり説得したりするなどの高度なコミュニケーションは難しい。
複雑な意思決定にはやはりフェース・ツー・フェース、顔を見ながらのコミュニケーションが不可欠である。相手の顔を見て認識に合わせながら言葉を重ねていき、意識を共有するコミュニケーションは、テキストでは不可能だ。
顔を見ながら言葉を瞬時にパーソナライズするコミュニケーションは人間の得意技であり、その要素を最大限に使えるようになったのが今の高音質、高画質、低遅延のビデオ会議である。何より今のように低コストでビデオ会議が使えるようになる前と後では、テレワークのありさまも全く変わっていると考える方が妥当である。
ビデオ会議ですぐに話し合えるようになったことで、日常のオフィスに近い手段で意思疎通できるようになったのは革命とも言える。テレワーク本格化のタイミングで出そろっていたイノベーションとして受け入れていき、その上でテレワークに不可欠のマネジメントの心得は、しっかり模索する必要がある。
ビデオ会議に求められるマネジメント
ビデオ会議のメリットは相手の顔を見ながら扱う言葉を即座に変えていける同期性にある。テキストは活版印刷の時代からたくさんの人に情報を配布する手段だったのに対し、ビデオ会議は会話する相手のためだけのコミュニケーションである。日常の仕事における1対1のコミュニケーションをそのまま生かせる。
1対多の場合はテキストとビデオ会議を組み合わせるのがよい。ブレーンストーミングの会議手法のように、チャットで意見をある程度広げてから、ビデオ会議を使って一つの結論にまとめていく。こうした手法で意思決定して話を前に進める。オンラインだと議論手法を定石のように作り込めることから、むしろオンラインが強いマネジャーが増えてもおかしくない。