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 新型コロナウイルスによる非常事態宣言の影響で、国内ではZoomは定着し、イベントや面接、打ち合わせなどでわざわざZoomとは何か説明しなくても通じるようになった。その影響で最近、Zoomがなぜ一人勝ちしたのか?という議論が局所局所で盛り上がっていた。火を付けたきっかけは、Zoomはセキュリティーを無視してUX(ユーザー体験)の強化に全力投球したから成功したという言説である。

 確かにZoomにそれまでのアプリではあまり見たことのない機能も存在する。例えばCG(コンピューターグラフィックス)によるバーチャル背景にPowerPointのスライドを重ねて使う時には、画面共有の開始時に自動でPowerPointを起動し、スライドをエクスポートする動作が見ることができる。WindowsのActiveXならいざ知らず、MacOSでもこんなことが可能なのかと感心させられると同時に、直感的には少し怖いと思うところもある。

Zoomのバーチャル背景にPowerPointのスライドを重ねた様子
Zoomのバーチャル背景にPowerPointのスライドを重ねた様子
(筆者提供、以下同)
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 そのような操作が可能な権限をZoomのアプリケーションに渡すため、利用者がMacOSのセキュリティーの設定を変更しているわけで、自己責任であるのは間違いない。それでもアプリケーションに言われるがままにセキュリティー設定を変える利用者は多い。そもそもパソコンの画面を外部に共有する機能は、もともと社内LAN内などで秘匿されていたパソコン上の情報を外部に送信しているわけだから、利用者の操作ミスはもちろんアプリケーションが少し誤動作するだけで大きなリスクにもなりかねないので、厳しく見られるのは致し方ない。

PowerPointを表示させるためのセキュリティー設定変更画面(MacOSの場合)
PowerPointを表示させるためのセキュリティー設定変更画面(MacOSの場合)
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