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 大成建設は、アクティオ(東京都中央区)、太平洋セメント、有明工業高等専門学校の3者と共同で、建設用3Dプリンター「T-3DP」を開発。2018年12月に発表した。

 T-3DP は門型の建設用3Dプリンターだ。制御用パソコンで読み込んだ3次元データに基づいて、セメント系材料(モルタル)を1層当たり約1cmの厚さで押し出して積層・実体化する。ノズル部の移動速度は、最速毎秒50cmに達する。幅1.7m、長さ2m、高さ1.5mまでの建設部材を製作できる(写真1)。

写真1■建設用3Dプリンター「T-3DP」の外観。モルタルの吐出量を常に一定に保つ特殊ノズルの開発により、「脈動」を伴う圧送ポンプとの組み合わせも可能になった。製作可能な最大寸法は、幅1.7m×長さ2.0m×高さ1.5m(写真:大成建設)
写真1■建設用3Dプリンター「T-3DP」の外観。モルタルの吐出量を常に一定に保つ特殊ノズルの開発により、「脈動」を伴う圧送ポンプとの組み合わせも可能になった。製作可能な最大寸法は、幅1.7m×長さ2.0m×高さ1.5m(写真:大成建設)
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 同社の3Dプリンター開発の取り組みは15年度に始まった。手始めに積層造形に適したセメント系材料のプロトタイプを開発。16年度には小型の試作機を製作して、積層造形実験を繰り返した。さらに、17年度からは特殊ノズルの開発、18年度からは装置の大型化に挑み、現在の「T-3DP」へつなげていった。

 「T-3DP」の最大の特徴の1つは、有明高専と共同で開発した特殊なノズルだ。形状や機構、制御システムなどに工夫を凝らし、2つの仕組みを取り込んだ。1つ目は材料の供給方法によらず、吐出量を一定に保てる仕組み。もう1つは、吐出をやめた際にノズル先端から材料が垂れにくくする仕組みだ。

「T-3DP」による積層造形のデモンストレーション。オオムラサキの羽を描いた複雑な図柄をモルタルでプリント・積層している。不連続な積層に対応してモルタルの吐出をいったん止めても、ノズル先端からモルタルは垂れない(動画:奥野 慶四郎)