全6782文字
PR

3)がん検査

 がんの診断と治療分野で、検査の技術革新が著しい。診断では、できるだけ早期にがんを発見する検査の開発が進んでいる。治療では、がんの特徴に合わせた抗がん剤を投与するため、がんの遺伝子変異を調べる検査が実用化された。2020年もがんの診断と治療のそれぞれで検査に関する取り組みに注目が集まりそうだ。

 診断分野では、血液や尿に含まれるマイクロRNAを解析してがんを検出する技術の開発が進む。東レや東芝はそれぞれ、血中に含まれるマイクロRNAを検出することでがんを早期に検出する技術の実用化を目指している。

 一方で尿中のマイクロRNAに着目しているのがベンチャー企業のIcariaだ。同社は酸化亜鉛ナノ構造体とマイクロ流路を組み合わせた独自のデバイスを用いて尿中のマイクロRNAを効率的に分離して回収。マイクロRNAの発現パターンを独自プログラムで解析し、がんを検出する技術を保有する。

 治療分野では、2019年6月にがんの特徴に合わせた治療を行うため、がんのタイプを調べる「がん遺伝子パネル検査」が保険適用された。

4)手術支援ロボット

 早ければ2020年にも日本産の手術支援ロボットが誕生する。これまでは米Intuitive Surgicalの「da Vinci(ダヴィンチ)」が手術支援ロボットの世界の市場をほぼ独占していた。

 日本では2018年度の診療報酬改定で手術支援ロボットを利用した手術の保険適用の対象が大幅に拡大した。既に保険適用されていた前立腺がんと腎臓がんに加え、新たに肺がんや食道がん、胃がんなど12件の手術が対象になった。「保険適用が拡大したため、日本全体で手術支援ロボットを利用した手術の症例数が増えている」というのがda Vinciを利用する医師の実感だ。手術支援ロボットを手掛ける企業の売り上げを支えるのは、ロボット本体に加えてロボットに装着する鉗子(かんし)などの消耗品の販売だ。症例数が増えると企業の売り上げ増加につながる。

 da Vinciと同じような使われ方を目指して手術支援ロボットの開発を進めているのが、メディカロイドとリバーフィールドだ。メディカロイドは川崎重工業とシスメックスが共同出資してできた会社。同社は開発する手術支援ロボットを2020年に発売することを目標にしている。ベンチャーのリバーフィールドも、手術支援ロボットの開発を手掛けており、2022年の実用化を目指す。da Vinciの1強体制を崩せるか、今後注目が集まりそうだ。