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5)スマートホスピタル

 医療現場にAIやロボットなど先端技術を導入する動きが活発だ。医療現場の働き方改革に加え、技術を導入し病院が担う役割を拡大させようとする病院が現れている。北原病院グループは病院でデータのプラットフォーム構築を目指している。倉敷中央病院はAIを活用し病気の予防にも力を入れる。

 最近では大学病院が「スマートホスピタル」「AIホスピタル」などと称してプロジェクトを推進している。名古屋大学医学部付属病院は企業と連携して看護師の病院内での動きを可視化したり、患者の脈拍や呼吸、活動量などのバイタル情報をリアルタイムに測定したりするシステムなどの技術の検証などを進めている。

 他にも東北大学病院は2020年1月に課題解決型研究開発実証フィールド「オープン・ベッド・ラボ(OPEN BED Lab)」を開設する予定だ。以前使われていた病棟の一部を企業に貸与し、医療機器や医療システム・サービスなどの研究開発実証フィールドとして活用してもらう。他にも慶応義塾大学病院が「慶応メディカルAIセンター」を中心に、技術の導入や開発に取り組んでいる。

6)CHASE(チェイス)

 いよいよ科学的介護に向けた国の具体的な取り組みが動き出しそうだ。厚生労働省が開発を進めている介護領域のデータベース「介護に関するサービス・状態等を収集するデータベース(CHASE:チェイス)」の運用が2020年度に本格的に始まる。

 科学的介護とは、自立支援や重症化予防などの効果が科学的に裏付けられた介護のこと。Aという状態の人には、Bという介入が効果的だというエビデンスを構築することで、利用者の状態に合わせた介護サービスを提供する。科学的介護を実現するには、データを活用したエビデンスを構築することが必要になる。厚生労働省は2017年10月から「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」での議論を進めており、2019年7月にCHASEで収集するデータの具体的な項目を決定した。

 CHASEの運用が広がれば、介護事業者はエビデンスに基づいて利用者を支援しやすくなると考えられている。一方で介護分野には、医療分野での「治療効果」のような共通概念が必ずしも存在するわけではない。まずは様々な関係者の価値判断を尊重しながら科学的介護の概念を浸透させていくことになるだろう。