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7)デジタルセラピューティクス

 2020年は「デジタルセラピューティクス(DTx)」の開発に多くの企業が参入しそうだ。DTxとは、スマートフォンのアプリなどデジタル技術を用いて疾患の診断、予防、治療などを支援したりするもの。医療機器プログラムとして承認を受けるものを指す。

 2020年にはDTxに含まれる治療用アプリが初めて実用化される可能性がある。ベンチャーのCureApp(キュア・アップ)が開発する、ニコチン依存症を対象とした治療用アプリだ。CureAppは同アプリで日本初となる治療用アプリの薬事承認を目指しており、アプリによる治療の効果を示すために臨床試験を行った。臨床試験にはお金と時間がかかるが、それでもCureAppが承認申請する道を選んだのは、承認後にアプリの保険適用を目指すためだ。日本の医療業界では、承認後に保険適用され、保険診療下の治療に利用されることで医薬品や医療機器が広まる。CureAppの申請と保険適用の行方に注目が集まる。

 ベンチャーだけではなく製薬企業が治療用アプリを開発する動きも活発だ。国内大手のアステラス製薬は2019年11月、米Welldocの糖尿病を管理するDTxの「BlueStar」を日本や一部のアジア地域で商業化する契約を締結したと発表した。BlueStarは2010年に米国の規制当局に承認されたもので、世界のDTxの先駆けだ。開発が進めばいよいよ日本にも上陸することになる。

 2019年10月には、DTxの開発を手掛ける企業などが集まる「日本デジタルセラピューティクス推進研究会」が発足した。メンバーはアイリス、アステラス製薬、サスメド、塩野義製薬、田辺三菱製薬、帝人ファーマ、デジタルガレージ。共同でセミナーや勉強会を開催したり、政策提言したりすることで、DTxを推進する。2020年はDTxの開発に参入する企業がさらに増えそうだ。

8)バイオ3Dプリンター

 2020年にバイオ3Dプリンターで作製した細胞製の人工血管の臨床研究が国内で初めて始まる。佐賀大学とサイフューズは、早ければ2020年春にも透析治療を受ける腎不全患者に移植する計画だ。細胞製の人工血管の安全性を評価する。大学での臨床研究で成果が認められればサイフューズが中心となって治験を実施し、2025年ごろの実用化を目指す。

 リコーは細胞を生きたまま吐出可能なインクジェット技術を開発した。生きた細胞の3次元積層によって人の臓器の機能再生を目指す。報道機関向けの説明会では、インクジェット技術を利用した「DNA標準プレート」を発売する計画を明らかにした。DNA標準プレートは、遺伝子検査装置の校正や検査の精度管理に利用するものである。