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 年末年始の恒例企画として、今年も日経デジタルヘルス編集部では、新たな1年を占う10大キーワードを選出しました。2020年を展望する10のキーワードを、五十音順で紹介していきます。果たして2020年はどのような年になるのでしょうか。

2020年を占う10大キーワード(五十音順)

1)AI診断支援

 AI(人工知能)が医師の診断を支援する「AI診断支援」ソフトウエアの種類が増え、2020年は医療の現場に徐々に浸透していくだろう。医療機器として承認を得た国内初のAI診断支援ソフトウエアは、オリンパスが2019年3月に発売した大腸内視鏡診断支援ソフトウエア「EndoBRAIN(エンドブレイン)」である。出力の過程が比較的理解しやすい機械学習の一種の「サポートベクターマシン」を活用し、約6万9000枚の症例画像を集めて教師データとして学習させた。

 2019年9月には、深層学習(Deep Learning)を活用したプログラム医療機器として、エルピクセルの医用画像解析ソフトウエア「EIRL aneurysm(エイル アニュリズム)」が国内初の薬事承認を得た。深層学習はAIの中でも出力結果の判断に至る過程がブラックボックスであり、判断根拠を明確に示すことが一般的に困難とされる。承認を得るまで3年ほどを要したという。これを機に深層学習を活用したプログラム医療機器が増えていきそうだ。

 AI診断支援ソフトウエアを手掛けるのは国内企業だけではない。中国企業なども日本への進出を狙っている。エルピクセルも脳MRI以外での深層学習の応用を視野に入れており、2020年の夏には肺のX線診断での実用化を目指す。国内外の企業による開発競争が激しくなりそうだ。

2)オンライン診療・新勢力

 2018年4月に施行された診療報酬改定で、オンライン診療に対する診療報酬が新設された。しかし診療報酬の算定条件が関係者の予想以上に厳しく、1年以上経過した現時点で、医療機関も患者も十分に活用できていない。2020年4月に診療報酬の改定を迎えるが、オンライン診療の不適切な利用が表面化したこともあり、オンライン診療関係者は異口同音に「今回は大きな進展はなさそうだ」と話す。

 そうした中で、医療やヘルスケアとは分野が異なる業種から、「オンライン診療」への参入を表明する企業が相次いでいる。ソフトバンクやLINEに続き、ケーブルテレビ事業者のジュピターテレコム(J:COM)も参入を表明した。いずれの企業にも共通するのが、「オンライン診療はいずれ普及する」という考えだ。「どこかでブレークするタイミングが必ず来る。規制緩和は時間の問題だ」(J:COM)とする。

 以前からオンライン診療システムを手掛けてきた企業も、周辺のサービスを拡充する動きを見せている。MICINはオンライン診療サービス「curon」を利用した、遺伝性のがんに関する医療相談を2019年5月に開始。メドレーはオンラインでのセカンドオピニオンや医療相談のサポートを2019年6月に開始した。2020年は新旧勢力が入り乱れて、オンライン診療が新たな進化を遂げるだろう。

 さらに2019年11月には、オンラインで服薬指導ができるようになる改正医薬品医療機器等法(薬機法)が成立した。1年で施行される。オンライン服薬指導がどのように実現するのかにも注目が集まりそうだ。