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2020年の現場が取り組むべきテーマは何か。まずはチームが置かれている状況を確認することが大切だ。先進企業のDXリーダーに、デジタル化の次の一手を学ぼう。

 「2020年、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する現場は、大きく2つの状況に立ち向かわなければならない」。ガートナージャパンの片山治利リサーチ&アドバイザリ部門アプリケーション開発シニア ディレクター アナリストはこう話す。2つの状況とは、内部環境と外部環境の変化だ。

2020年にDXの現場が取り組むべきテーマ
2020年にDXの現場が取り組むべきテーマ
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 内部環境では、システム面と人材面の変化が起こっている。既存システムのブラックボックス化と人材不足/高齢化である。こうした内部環境に対処しながら外部環境の変化に追随する必要がある。

 外部環境で起こっているのは、他業界からのデジタルディスラプションの脅威の増加、顧客/取引先のニーズの変化などだ。「まさに内憂外患」(片山シニア ディレクター アナリスト)である。

ITと事業の融合を加速させる

 内憂外患を乗り越え、DXを推進するにはどうすればよいか。識者や先進企業への取材を総合すると、2020年に現場が取り組むべきテーマは大きく2つある。「ITと事業のさらなる融合」と「2025年の崖回避策の立案と実行」だ。

 1つ目の「ITと事業のさらなる融合」については、ITエンジニアとユーザーがより緊密に連携することが求められる。以前から言われてきたことのように思うかもしれない。しかしDXでは、ITサービスが事業そのものになるため、過去よりも高いレベルでの共同作業が必要だ。

 例えば、以前はユーザーが要件を出し、ITエンジニアがそれを実現するという関係が一般的だった。DXではこうした役割分担は変わり、ITエンジニアとユーザーの混成チームで一緒にサービスを作ることになる。

 農機大手のヤンマーでは「全社員SE化」というスローガンを掲げている。SE化と言っても、社員全員にプログラミング言語を覚えさせるわけではないが、IT部門以外の部署でもシステム開発に積極的に関与し、「自分のシステム」として開発チームに加わってもらうという意味だ。

 ヤンマーの矢島孝應取締役は「できる範囲であれば、事業部門が主体となってどんどんシステム開発を進めてもらう。IT部門はそのために必要なノウハウやスキルを提供する役割を担う存在になる」と話す。

 IT部門とユーザーが混成チームを作るとき、ITエンジニアが提供するのは技術的なノウハウだけではない。デザイン思考のような、ユーザーの潜在ニーズを引き出すファシリテーションスキルも必要になる。

 開発プロセスはアジャイル型が適している。開発工程を繰り返しつつ、ユーザーの反応を見ながら必要に応じてサービスの企画まで戻るような、高度なアジャイル開発が求められる。

「崖回避」のロードマップ作り

 もう1つの取り組むべきテーマが「2025年の崖回避策の立案と実行」である。2025年の崖とは、経済産業省が「DXレポート」で示した最悪の近未来シナリオだ。ブラックボックス化した基幹系システムがDXの阻害要因になる他、システムトラブルが増え、年間で最大12兆円の経済損失を生むと試算している。

 DXの足かせになる既存システムを抱えている現場では、2020年に解体までのロードマップを策定する必要がある。

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