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2020年の春、日本では5Gの本格商用サービスが相次ぎ始まる。そしてR&Dの現場では、10年後の2030年に向けた「5Gのその先(beyond 5Gあるいは6G)」の研究開発が始動している。目指すスペックは5Gの1桁上となる「100Gビット/秒」「1000万台/km2」「遅延ほぼゼロ」。ミリ波を超える新たな周波数帯の開拓が欠かせない。

 いよいよ日本でも5G(第5世代移動通信システム)の本格的な商用サービスが始まる。日本に先行する形で2019年にサービスを開始した韓国では同年内に300万加入を突破するなど、着実に数字を積み上げている。米国や中国の通信事業者も提供済みで、2025年にはモバイル全体の約3割を5Gが占める見込みだ(図1)。

図1 世界の5G契約数は2025年に26億件へ
図1 世界の5G契約数は2025年に26億件へ
移動通信の世代・規格別にみた契約件数の推移を示した。IoT接続件数は含まない。(出所:Ericsson)
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 次々と離陸する5Gだが、その検討が始まったのは2010年ころ。商用化まで約10年を要したことになる。そして今、R&Dの現場では、10年後の2030年を目指して、「beyond 5G」や「6G」と呼ばれる「5Gのその先」の研究開発が世界各地で始まっている。例えば日本ではNTTドコモが「5G Evolution and Beyond」を掲げ、この1月に開催する「DOCOMO Open House 2020」において最新の研究成果を見せる予定だ。また、世界に先駆けて6Gの研究開発に名乗りを上げたフィンランド・オウル大学(University of Oulu)は2019年9月に「世界初」をうたう6Gのホワイトペーパー(白書)を公開した(図2)。このほか中国のHuawei TechnologiesやZTEといった機器ベンダーも6Gの研究をスタートしている。

図2 学術界と産業界からみた6Gの主な目標
図2 学術界と産業界からみた6Gの主な目標
フィンランドUniversity of Ouluの研究開発プロジェクト「6G Flagship」が2019年9月に発行した世界初とする6Gの白書(White Paper) 「KEY DRIVERS AND RESEARCH CHALLENGES FOR 6G UBIQUITOUS WIRELESS INTELLIGENCE」から。日本語訳は日経クロステック。(出所:6G Flagship)
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