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 デジタル5カ年計画を掲げ、既存業務の効率化や新しいビジネスモデルの創出に挑む日本生命保険。とりわけ力を入れているのがAI(人工知能)の活用だ。営業職員の業務改善や営業スキルの向上、社内業務の効率化、顧客向けサービスなど幅広い。用途ごとに運用を見越した現実的な精度を見極め、AIの力をフルに引き出す。

 現在導入済み、あるいは導入見込みのAIの数は約15件。営業職員へ計6万台配布した新型タブレットに搭載したOCR機能は、日本生命が取り組むAI活用の一環だ。ほかにもチャットボットによる自動応答、営業職員向けのトレーニングや営業活動の提案など内容は幅広い。主にシステム子会社のニッセイ情報テクノロジー(NIT)と取り組んでいる。

導入済みまたは導入見込みのAIの例
導入済みまたは導入見込みのAIの例
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AIの要件を用途別に検討

 特徴は目標とする精度と実測した精度を事細かに比較し、現実的な精度を目指して改善を積み重ねているところにある。「あえて99%を目指さない」(NITの落合広則個人保険システム事業部サービス開発ブロックチーフマネジャー)。

 OCRの読み取り精度を高めるにはより高品質な撮影画像が必要だ。すると撮影する際に端末の角度を厳密に調整したり十分な光量を確保したりと、操作が難しくなる。「現実的な精度を踏まえ、現場での運用の工夫を組み合わせて最大限の効果を発揮できるようにする」(同)。

「ロープレAI」で営業力アップ

 AIの効果検証プロジェクトの成果として、日本生命は2020年4月にも「ロープレAI」と呼ぶ新機能を投入する。営業職員がスマートフォンで自撮りした営業トークの内容をAIが自動判定し、改善方法などを提案してくれる機能である。

 同機能を使う端末として、日本生命は2020年1月から順次、営業職員向けに富士通製のスマホを貸し出す。希望者に有料で貸し出す仕組みで、約4万台の利用を想定している。同社は初期投資に30億円、端末の保守などに年間20億円ほどを見込む。

 ロープレAIは画像や音声の認識技術を使い、営業職員の営業トークの内容を明瞭さやスピード、流ちょうさ、アイコンタクト、表情、ジェスチャーという6つの項目で評価する。各項目を0~5まで0.1刻みで採点し、総合得点も算出する。

「ロープレAI」の仕組み
「ロープレAI」の仕組み
(写真と画像提供:日本生命保険)
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