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 自動車や鉄道など、すべての交通手段を単なる移動ツールではなく、1つのサービスとしてとらえるMaaS(Mobility as a Service)。MaaSに関連する産業のすそ野は広く、自動車メーカーや関連部品のサプライヤーだけでなく、ITベンダー、公共交通や物流といった人やモノの移動に関わるサービス事業者にも関係する。MaaSを構成する要素技術も多岐にわたる。今回、MaaSに関連する技術動向をつかむため、特許文献を用いて俯瞰(ふかん)的に解析した。その結果、MaaSを構成する要素技術として使用エリア別モビリティー、通信、物流、エッジデバイスなど、多岐にわたる技術開発が行われている状況を読み取れた。その一方で、技術開発が手薄な領域も見えてきた。さらに、米グーグル(Google)や中国の百度(Baidu)といった、MaaSと関わりの深い自動運転の開発を手掛ける企業間での技術開発動向の違いも見えた。本稿は今回の特許解析の結果を紹介するものである。

大量の文書を機械的に類似度でまとめて配置

 今回のMaaS特許解析では、特許の俯瞰図を用いている。解析結果を紹介する前に、特許の俯瞰図について読み方を簡単に紹介しておこう。

 多数の特許を解析するには、大量かつ大容量の文書を高精度かつ思考バイアスなく客観的にまとめねばならない。今回のMaaS特許解析は、VALUENEXが保有するツールを使い、大量の文書を機械的に特許内容の「類似度」で解析し、2次元のグラフ上に配置した。こうして得た俯瞰図は、下記の特徴がある(図1)。

  1. 多くの文書に共通する内容を含むほど中心に配置される(図1中A)
  2. 似ている文書は密集し、そのエリアが赤くなる(図1中B)。つまり、多くの特許が公開されていることで、レッドオーシャン化していることが分かる
  3. 周囲の文書と類似しているが、密集度が低いエリアは青系の色で表される(図1中C)。つまり特許があまり盛んに出されておらず、ブルーオーシャンの可能性がある
図1 俯瞰図の読み方
図1 俯瞰図の読み方
(出所:VALUENEX)
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 今回は、MaaSを構成するキーワードを抽出し、これらのキーワードを使って特許を収集・解析して俯瞰図を作成した。まずGoogle検索(米国)で「MaaS」を調べ、上位100サイトをテキスト解析して特徴的なキーワード(Mobility ServiceやIntelligent Transportなど)を抽出した。続いて、抽出したキーワードを使い、2014~2018年に米国、日本、中国、欧州で公開(公告)、および国際公開(公告)された特許を検索し、取得した4万3290件の特許を解析した。

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