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 前回の記事に続き、今回も遠隔医療、特にグローバルの動向を踏まえた遠隔医療について解説する。前回の原稿を執筆した2020年4月20日時点の状況と比較すると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は収束に向かっているように見える。医療崩壊の懸念が残る地域では緊急事態宣言を解除できず、予断を許さない状況が続いているが、緩やかにアフターコロナ/ニューノーマルの時代に移行しつつある(2020年5月15日時点)。これは日本に限ったことではなく、世界的な傾向であり、段階的なロックダウンの解除が行われている。

 そのような中で、長年にわたって遠隔医療の基盤を構築してきた医療・ヘルスケア産業の巨人と、情報産業、特に個人情報に関する領域の巨人が次の時代の医療・ヘルスケアの覇権を争う構図が見えてきた。我々の生活の基盤となる医療システムはこれからどうなっていくのか、その先にどのような産業になるのか、グローバルな技術俯瞰(ふかん)から考察する。

医療・ヘルスケアの巨人たちの進化

 日本国内での遠隔医療の解析を踏まえ、グローバル(日本、米国、欧州、中国)において、遠隔医療、特に遠隔診断に関するキーワードを含んだ特許の中で2000〜2019年に公開された8347件を対象に解析を実施した。その結果、グローバルな医療・ヘルスケアにおいては不動の4社「GIPS」(GE、IBM、Philips、Siemens)が存在していることが改めて確認できた(図1)。

図1 遠隔医療における「GIPS」の出願状況
図1 遠隔医療における「GIPS」の出願状況
(出所:VALUENEX)
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 同図に示すように、GIPSの特許は遠隔医療のほぼ全ての領域において出願されている。特に、「1:医療画像」には4社の出願が集中しており、遠隔医療において、医療画像の重要性を確認することができる。

 各社の特徴を挙げると、米IBMは幅広く機械学習を武器に出願しており、各領域の基盤技術となっていることが推察される。他の3社については、米ゼネラル・エレクトリック(General Electric:GE)は「13:ヘルスケア領域」に、オランダ・フィリップス(Philips)は「11:モニタリング」に、ドイツ・シーメンス(Siemens)は「19:遠隔医療ロボット」や「22:MR・VR、手術計画」にそれぞれ集中が見られるため、強みとしている可能性が高い。各社ともハードウエアだけではなく、機械学習に代表される人工知能(AI)の取り組みを加速させ、進化し続けていることが分かる。