
いよいよ東京オリンピック・パラリンピックの年だ。次世代通信規格の「5G」による通信サービスが始まり、スマホ決済は一段と浸透し、AIはさらに賢くなるだろう。デジタル技術の進化によって人々の生活や社会はどう変わるのか。企業はどんな対応をすべきか。商機はどこにあるのか。20の技術や市場・関心事を対象に、2020年の行方を大胆予測した。
20の「未来」展望、2020年の日本はこうなる
いよいよ東京オリンピック・パラリンピックの年だ。次世代通信規格の「5G」による通信サービスが始まり、スマホ決済は一段と浸透し、AIはさらに賢くなるだろう。デジタル技術の進化によって人々の生活や社会はどう変わるのか。企業はどんな対応をすべきか。商機はどこにあるのか。20の技術や市場・関心事を対象に、2020年の行方を大胆予測した。
出典:日経コンピュータ、2020年1月9日号 pp.24-45 「新春大予測 20の「未来」展望、2020年の日本はこうなる」を改題
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いよいよ東京オリンピック・パラリンピック(オリパラ)が2020年7月24日から9月6日まで開催される。合計で史上最多となる55競技878種目において、日本は50個近い金メダルを獲得するだろう。選手の活躍を後押しするのがITの力である。
ブロックチェーン技術を活用した最初の商用サービスとも言えるビットコインが稼働して10年。以降、インターネット以来の革命と期待されつつも大規模商用サービスの普及に結びつかなかった本命技術が2020年についに花開く。
AI(人工知能)開発に必須のプログラミング言語として人気の「Python」。これまでは小規模開発での利用が主流だったが、2020年は大規模開発での採用例が増え、「本命」の一角を担う。変数の型をチェックする機能「型ヒント」の利用が普及するからだ。
2020年は「AIの民主化」が一段と進む。ユーザー企業はデータサイエンティストを抱えなくても、クラウド事業者が提供する「AIアプリケーション」を利用したり、「自動化されたAI開発技術」を使ったりするだけでAIのメリットを享受できるようになる。
日本でも急拡大する個人データ活用ビジネス。2020年は世界中で監視と規制の動きが一段と強まるだろう。具体的には国内では現行の個人情報保護法が2段階で変更され、データ保護と巨大IT企業への規制が強まる。さらに海外ではクッキー利用への監視が厳しくなる。
2020年はパブリッククラウドの基盤をオンプレミスのハード上に配置するという、従来のクラウド移行とは逆の流れが巻き起こる。
2020年は技術者の大移動が始まるだろう。離職を加速させる要因は2つ。デジタル技術を活用して新事業を立ち上げたり事業変革したりするDX(デジタルトランスフォーメーション)と「2025年の崖」だ。
米グーグルは特定の計算においてスーパーコンピューター(スパコン)をしのぐ性能を示した量子プロセッサー「Sycamore(シカモア)」を2020年に企業が本格利用できるようにする計画だ。業界ごとに1~2社を選んで共同研究を始める。さらに2020年末から2021年にかけて、利用企業は増えると予測する。
企業が社員1人ひとりのニーズをくみ取って人事制度を改定・試行する「人事PoC(概念実証)」の動きが2020年は活発になるだろう。これにより一段と働きやすくなる。
スマホのQRコード決済機能や非接触決済機能を使ってモノやサービスを買う「キャッシュレス決済」が広がっている。政府は2025年までにキャッシュレス決済の比率を40%まで高める目標を掲げているが、3年前倒しの2022年に達成すると予測する。
2010年の第4世代移動通信システム(4G)以来、10年ぶりとなる新世代の通信サービスである第5世代移動通信システム(5G)が2020年3月以降にいよいよ国内で商用化される。
2020年はスマホに特化したサイバー攻撃が急増し、スマホを通じてお金を盗まれる事件が相次ぐだろう。スマホはキャッシュレス決済やネットバンキングなどに使う「生活インフラ」となりつつあるが、パソコンに比べてセキュリティー対策が不十分なだけでなく、消費者の警戒レベルも低い。攻撃者はそこに目を付ける。
SIerが今の主力ビジネスで生き残れるのはユーザー企業の基幹システム刷新需要が残る2025年までだ。SIerの2020年度業績は2025年以降の「存続度合い」を判定する最初の材料となる。
2020年、政府は「空の秩序」を守るためにドローンへの引き締めを強化する。全てのドローンが自動車のように所有者や使用者を把握するための登録制度の対象になる可能性もある。ドローンの交通ルールが出来上がり、トラブルが減りそうだ。
新規参入の楽天モバイルがどのような料金プランを打ち出すかが2020年の最大の注目点だ。楽天の三木谷浩史会長兼社長は「他社がなかなかまねできない料金体系になる」と宣言しており、NTTドコモやKDDI(au)、ソフトバンクの既存大手はその内容次第で対抗値下げを余儀なくされるからだ。
2020年は日立製作所の東原敏昭社長(64)の去就に注目が集まる。日立のトップはこれまで3~7年で交代してきた。東原社長は2020年4月で社長就任から丸6年となる。後任候補に挙がるのが小島啓二副社長(63)、アリステア・ドーマー副社長(56)、徳永俊昭常務(52)の3氏だ。
デジタルからリアルへ、消費者向けから企業向けへ――。2020年は継続課金型で商品やサービスを提供する「サブスクリプション」の提供ビジネスが広がる。矢野経済研究所によれば2023年度の国内サブスク市場は2018年度比1.5倍の8623億5000万円まで拡大するという。
Windows 7のサポート終了が4日後の2020年1月14日に迫っている。米マイクロソフトは最新のWindows 10を定期的な大型アップデートで「進化」させる方針を採る。従ってWindows OSのサポート終了に伴う大規模なパソコン更改需要は今回が最後となる。
2017年の設立からの累計投資利益は1兆2000億円――。2019年11月6日、ソフトバンクグループの2019年4~9月期連結決算の発表会で、孫正義会長兼社長は同社が立ち上げた投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」の成果をこう強調した。
病院で診察を受けたら、医師から薬と「アプリ」を処方された――。早ければ2020年にもこんな状況が当たり前になる。医療分野のデジタル活用で2020年に注目されるのが「治療用アプリ」だ。患者に日々助言し、生活習慣病などの治療を支援する役割を担う。