2020年が幕を開けた。デジタル技術の進化によって人々の生活や社会はどう変わるのか。企業はどんな対応をすべきか。商機はどこにあるのか。20の技術や市場・関心事を対象に、2020年の行方を大胆予測した。今回はデータ保護/GAFA規制を取り上げる。
日本でも急拡大する個人データ活用ビジネス。2020年は世界中で監視と規制の動きが一段と強まるだろう。具体的には国内では現行の個人情報保護法が2段階で変更され、データ保護と巨大IT企業への規制が強まる。さらに海外ではクッキー利用への監視が厳しくなる。その結果、2020年は制裁金を科せられる日本企業が相次ぎ、回避しようと規制対応済みの海外ネット広告システムの導入が増えるだろう。
国内では、2020年1月からの通常国会に提出される個人情報保護法改正案は個人情報に対する企業の責務を拡充する。その背景には「リクナビ問題」がある。就職活動中の学生の知らぬ間に、Webサイトの閲覧履歴などが内定辞退率の算出に使われた。
現行の個人情報保護法では、企業が個人情報を不正に取得したり目的外に個人データを使ったりした場合に限って、個人がデータの利用停止や削除などを企業に求められる。加えて改正法案では、リクナビ問題のように個人が想定していなかったようなデータの使い方を企業がした場合も、個人が利用停止を求められるようになりそうだ。
改正法案が2020年3月にも成立すれば、個人情報保護委員会はさらに再改正案をまとめる意向だ。国や独立行政法人、地方自治体などの個人データの扱いを監督する権限を同委員会に一元化する内容になるだろう。
権限の一元化は官民が協力してデータを活用できる起爆剤になると同時に、欧州連合(EU)が2021年に見直しを予定する「十分性決定」の継続にも影響しそうだ。個人データを十分に保護できればデータ活用の道が広がる。