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ある会社の2階にあるパソコンだけがインターネットにつながらなくなるトラブルが発生した。過去にも同様のトラブルが年に数回発生していたが、しばらくすると復旧していたという。担当者が社員へのヒアリング(聞き込み)を繰り返したところ、トラブル解決につながる意外な事実が判明した。

 インターネット接続が不安定になって、しばらくすると復旧する――。このようなトラブルの解決は難しい。トラブルの原因になったネットワーク機器が調査時には正常に稼働しているケースがあるからだ。原因を究明せずにそのまま放置してしまうこともあるだろう。同じトラブルが年に数回しか発生せず、業務への影響が小さいならなおさらだ。

 こうしたトラブルの解決には、ヒアリングによって不具合発生時の状況を確認することが欠かせない。状況を事細かに聞くことで解決への糸口が得られるからだ。ECサイトの構築やホームページの作成、Webサイトのインフラ構築などを主業務とするBE‐Techの最高経営責任者(CEO)である阿部 元信さんが遭遇したのもそんなトラブル事例だった。

インターネットにつながらない

 今回のトラブルが発生したのは、千葉県習志野市にあるA社だ。A社はリフォーム業などを営む社員数が数十人の中小企業である。

 前日よりも気温が約3℃上昇し、夏日になった2019年5月23日午後2時、阿部さんにA社の部長から連絡が入った。「社内のパソコンがインターネットに接続できなくなったので助けてほしい」という内容だ。

 A社は2階建ての建物にオフィスを構えている。A社のネットワークは5年以上前にシステムインテグレーターが敷設したが、保守契約期間の終了後は自分たちでメンテナンスをしていた。ネットワーク専任の担当者は配置しなかったが、インターネットに接続できていたので特に問題を感じることはなかったという。

 阿部さんは以前からA社のサーバーのクラウド移行やホームページの作成などを手がけていた。その際に「何かネットワークのトラブルが発生したら力になります」と伝えていたこともあり、阿部さんに連絡が来たのだ。

 A社には2本のインターネット回線が敷設されている。1本は外部の専用システムを使うための回線で、1台の専用パソコンと接続している。もう1本の回線は社内LANからインターネットに接続するのに利用している。

トラブル発生時のA社のネットワーク
トラブル発生時のA社のネットワーク
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 A社のネットワークを敷設した地元のインテグレーターとの保守契約は切れていた。また、A社の社員でネットワークを正確に把握している人はほとんどいなかった。ネットワーク図もなく、2本のインターネット回線があることを知っている人も少ない。そこで阿部さんはA社のLANケーブルの整理を手伝った際に簡易的なネットワーク図を作製し、大まかに構成を把握していた。

 連絡を受けた阿部さんは、他の顧客との打ち合わせが終わった午後6時ごろA社に駆け付けた。A社に到着した阿部さんはトラブルの状況を確かめるため、2階にある社員のパソコンのWebブラウザーで任意のWebサイトにアクセスしてみた。

 するとWebサイトがいつまでたっても表示されず、タイムアウトになってしまった。A社の社員にヒアリングしたところ、午後2時ぐらいからつながらない状態だという。

 阿部さんは以前に作製したA社のネットワーク図を頼りに1階のパソコンを確認することにした。もし1階のパソコンで同じトラブルが発生していれば、ONU(Optical Network Unit、光回線終端装置)やルーターが故障している可能性が高いと判断できるからだ。

 そこで1階に設置されたパソコンを起動し、Webブラウザーを使ってWebサイトにアクセスした。すると外部システムを利用する専用パソコンと社内LANに接続されたパソコンの両方で問題なくWebサイトを閲覧できた。これで2階だけでトラブルが発生していることが分かった。

トラブルの原因を探るために調査を実施
トラブルの原因を探るために調査を実施
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