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接触確認アプリ、本当に使う?~公益のための個人データ活用とは 6/8 18時
スイッチをギガビット対応に更新したところ、複数の無線LANアクセスポイント(AP)でトラブルが発生した。スイッチとAPを直接つないだテスト環境では問題はなかった。調査したところ、原因はスイッチやAPではなく別のところにあることが分かった。

 ネットワークに新しい機器を導入する場合などは、本番環境とは異なる環境でテストするのが不可欠だ。本番環境にいきなり導入したら、大きなトラブルになる恐れがある。

 ただ、本番環境と全く同じテスト環境を用意することは難しい。時間やコストの都合で、どうしてもシンプルになってしまう。このためテスト環境では問題なかったのに、本番環境に導入したら予想もしなかったトラブルが発生することは少なくない。今回のトラブルはその典型例といえるだろう。

騒音からPoEインジェクターを採用

 今回のトラブルの舞台は、京都大学数理解析研究所のネットワークだ。同研究所に所属する技術職員の岸本 典文さんらが研究所のネットワークの構築と運用を担当している。同研究所は「数学・数理科学の総合的研究」を行うために設立された。

 研究所では、無線LANを使ってネットワークに接続する。地下1階から地上4階までの各フロアに、4~5台のアクセスポイントを設置している。アクセスポイントは各フロアにあるフロアスイッチにつながり、サーバールームにあるコアスイッチに集約されている。

トラブル発生時の京都大学数理解析研究所 のネットワーク構成
トラブル発生時の京都大学数理解析研究所 のネットワーク構成
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 サーバールームには、各種サーバーや学内ネットワークにつなぐためのファイアウオールとNATが設置されている。学内ネットワークは別の担当者が管理していて、研究所のネットワークは学内ネットワークの1つのVLANになっている。インターネットには学内ネットワークを経由して接続している。

 研究所のネットワークで使っている一部のアクセスポイントには、PoEインジェクターで電力を供給している。電源にACアダプターを使うと、ACアダプターのケーブルの長さがギリギリだったり、他のケーブルと交じってごちゃついたりする場所があるためだ。

 一般的なPoE機能付きスイッチではなく、PoEインジェクターを使っているのには理由がある。「以前、PoE機能付きスイッチを利用していたところ、ある教員から『どこからかスースーと音がして研究に集中できない』と指摘されたためです」と岸本さんは説明する。

ファンレスで運用するためにPoEインジェクターを採用
ファンレスで運用するためにPoEインジェクターを採用
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 PoE機能付きスイッチに冷却ファンが付いていたため、教員はその騒音が気になったと推測した。そこでファンのない機器だけを使う運用を考えたところ、ファンレスのスイッチとPoEインジェクターを見つけたので、これらを組み合わせることにした。