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工場のネットワークにおいて、サーバーパソコンに置いた共有フォルダーを開けなくトラブルが発生した。いろいろ調査したが原因は不明。トラブル発生前にネットワークや機器の設定などを変更した覚えもない。ところが、管理者が知らないうちに「ある変更」が加わっていたのだ。

 ネットワークトラブルが起こるのは、ネットワークで「何か」が変わったときだ。何もしていないと思っていても、管理者の知らないうちにバックグラウンドで変更が加わりトラブルに発展するケースがある。今回紹介するのはそのようなトラブルの典型例だ。

作業指示書が見られない

 トラブルの舞台となったのは、愛知県知多郡にある自動車部品メーカーの工場だ。この地域は「プラスチック工業団地」と呼ばれ、大手自動車メーカー向けに自動車のプラスチック部品を製造する小さな工場が30~40もあるという。今回トラブルが発生したのはそうした工場の1つである。

 その工場は、道路を挟んで第1工場と第2工場に分かれている。第1工場にはファイルサーバーとして使っているパソコン(サーバーパソコン)とクライアントとして使っているパソコン(クライアントパソコン1)が1台ずつある。

トラブルの舞台となった工場のネットワーク構成
トラブルの舞台となった工場のネットワーク構成
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 また第2工場には2台のクライアントパソコン(それぞれクライアントパソコン2、3)が置いてある。各パソコンのOSは、サーバーパソコンとクライアントパソコン1および3がWindows 10、クライアントパソコン2がWindows 7である。

 サーバーパソコンには共有フォルダーを設定し、そこに部品の種類や数量などを記入した作業指示書、いわゆる「かんばん」用のExcelファイルを入れている。共有フォルダーのショートカットを各クライアントパソコンに置き、それをダブルクリックして中にあるExcelファイルを利用する。

 各工場にはLANスイッチが1台ずつ置いてあり、それぞれ2台ずつパソコンをつないでいる。LANスイッチ同士は道路を挟んでLANケーブルで接続している。第1工場のLANスイッチには無線LANルーターがつながっており、これを通してインターネットにアクセスする。

 無線LANは主にスマートフォンの接続に使い、パソコンや複合機はすべて有線で接続されている。アクセス回線にはNTT西日本のフレッツ 光ネクスト、インターネット接続にはNTTコミュニケーションズのOCNを契約している。

 この工場を顧客とする鈴木 剛さんは、愛知県知多郡を中心にパソコンの設定やトラブル対応、小規模ネットワークの構築などを手掛けている。2018年1月12日の午前10時ごろ、その鈴木さんに電話がかかってきた。電話をかけたのは第1工場にいる事務員Aである。

 事務員Aによると、第1工場のクライアントパソコン1で共有フォルダーのショートカットをダブルクリックしても何の反応もなく、共有フォルダーにアクセスできないという。鈴木さんは事務員Aに「複合機で印刷できますか」と尋ねた。すると印刷はできるとの返事だった。このことから「LANスイッチやルーターの問題ではないなと思いました」(鈴木さん)。

共有フォルダーにアクセスできないとの連絡が入る
共有フォルダーにアクセスできないとの連絡が入る
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 午前中に別件の仕事を抱えていた鈴木さんは、午後3時以降の対応になると伝えて電話を切った。後で聞いた話だが、鈴木さんが現場を訪れるまで、USBメモリーを使ってかんばん用のExcelファイルを移動させていたという。