企業ネットワークに比べ、家庭内ネットワークは機器台数が少なくシンプルな構成になることが多い。不具合が発生しても、勝手知ったる自宅内なので原因にたどり着きやすい。特に一戸建ての場合、機器を自身で設置するので構成を容易に把握できる。
だがマンションなどの集合住宅の場合、少し事情が変わってくる。集合住宅には各居室からの配線や、インターネット回線へ接続するネットワーク機器など、入居者が直接関与しない設備が少なくない。それらに不具合が発生すると、利用者である入居者が対処するのは難しい。
今回はそんなマンションのネットワークで起きたトラブルだ。入居者の立場からすると、マンション内ネットワークのトラブルには企業ネットワークとは異なる「面倒」がある。構成や設備ごとの責任分解点が見えにくいからだ。
インターネットが突然利用できなくなった
トラブルに遭ったのは、GMOインターネットグループのグループ代表室特命担当技術分析官の新里 祐教さんだ。ネットワークのスペシャリストである。新里さんが自宅内の無線LANにつないだスマホから、インターネットが突然利用できなくなった。
GMOインターネットグループはハイブリッドワークを推奨しており、自宅のインターネットはプライベートだけでなく、仕事にも利用していた。仕事上の調べ物やプログラミングにもインターネット接続が必要になる。インターネットが使えなくなると、公私両面に影響が大きい。
新里さんが住んでいたマンションのネットワーク構成は次の通り。新里さんはマンションの管理会社が契約したプロバイダー経由でインターネットに接続している。室内に無線LANルーターを設置し、パソコンやスマホを無線LANに接続している。
無線LANルーターは室内の壁に設置されたLANコンセントにつなぐ。LANコンセントは室内の配電盤を通ってマンション共用部のネットワーク機器につながり、屋外の光ケーブルを通ってインターネットへとつながる。
新里さんがインターネット接続の不調を感じたのは、今回が初めてではない。トラブルの1カ月前くらいから2週間に1回程度、接続が途切れたことがあった。そのときは5分から10分程度待つと復旧した。
新里さんは今回も自然に不具合が直るだろうと、しばらく待っていた。「家庭用のインターネット回線なので、品質はベストエフォートにすぎません。100%常時使えるとも限らないので、しばらく待つことにしました」(新里さん)。だが今回は1時間たっても改善しなかった。