メールは送れば届くのは当たり前──。読者の多くはそう思っているだろう。以前はネットワークやメールサーバーなどの品質が低く、メールが途中で行方不明になることがあった。到達までに時間がかかり、忘れた頃に届くこともあった。しかし最近はそうしたことはほぼ起こらない。「届かなかった」と思えるケースも、実は誤って削除していたり、迷惑メールフォルダーに振り分けられたりしているケースがほとんどだ。
だが、ごくまれにとはいえ再現性がある形で本当に届かないことも起こる。今回のトラブルがまさにそういった事例だ。
メールサービスの利用企業から問い合わせ
トラブルに遭遇したのは、インターネットイニシアティブ(IIJ)ネットワーク本部アプリケーションサービス部運用技術課長の古賀 勇さんだ。
トラブルは「IIJセキュアMXサービス(以下、セキュアMXサービス)」で発生した。セキュアMXサービスはマルウエアの侵入を防いだり、誤送信を防いだりするサービスだ。利用者はこのサービスを経由してメールを送受信する。
2012年10月のある日、セキュアMXサービスを利用する企業の担当者から「特定の企業からのメールが届かない」という問い合わせが入った。古賀さんは状況を確認するため、送信元のドメイン名や送信日時などを確認した。
これらの情報を基に、セキュアMXサービスのログを検索した。「当時は特にログを操作するツールなどを用意していなかったので、Linuxのコマンドで検索しました」(古賀さん)。