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ある顧客が、通信事業者のサーバーに専用線経由でアクセスできなくなった。光ファイバーの断線を疑い、同じ光ファイバーケーブル内の別の光ファイバーを使うようにしても復旧しなかった。調査したところ、光ファイバーケーブル自体が損傷していた。一体、「犯人」は誰だったのだろうか。

 ネットワークトラブルの原因としてまず機器の設定ミスやファームウエアのバグなどを疑いがちだが、物理層のケーブルが原因となるトラブルも少なくない。今回紹介するトラブルはその典型例といえるだろう。光ファイバーケーブルが原因だった。

 光ファイバーケーブルは屋内だけでなく、屋外に敷設して拠点間をつなぐ場合もある。そのためオフィスやデータセンター内では考えられないようなトラブルが発生することがある。

専用線サービスでトラブル発生

 トラブルに遭遇したのは松阪ケーブルテレビ・ステーションだ。技術部の次長を務める塩田敏之さんが対応した。同社は三重県松阪市のケーブルテレビ局で、インターネット接続事業者(ISP)でもある。

 松阪市を中心に光ファイバーケーブル網を敷設し、ケーブルテレビの配信サービスやインターネット接続サービスなどを企業や一般家庭に提供している。塩田さんはケーブルテレビやインターネット接続サービスなどに必要なインフラを管理している。

 同社は企業向けに光ファイバーの専用線「光専用線サービス」も提供している。顧客が指定する拠点間を顧客専用の光ファイバーで接続する。顧客は光ファイバーを1本占有し、他社の回線と物理的に隔離されたネットワークを構築できる。

 トラブルは2021年8月8日の午前10時ごろに発生した。光専用線サービスを利用するある顧客が、通信事業者Aのサーバーにアクセスできなくなった。顧客はその旨を通信事業者Aに連絡した。

トラブル発生時のネットワーク構成
トラブル発生時のネットワーク構成
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 顧客は拠点から25km先の通信事業者Aのデータセンターへ、閉域網を経由して接続している。閉域網は松阪ケーブルテレビ・ステーションと通信事業者Aの光ファイバー専用線をつないで構築している。