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ケーブルテレビ事業者が10Gビット/秒対応FTTH(Fiber To The Home)サービスの提供開始に向けて通信速度を測定した。だが測定装置でエラーが発生して測れない。測定できた場合でも想定した速度が出ない。調査の結果、意外な事実が判明した。

 ネットワークを構築したり更改したりする際、想定した通信速度を実現できているか確認するのは重要だ。実現できていない場合、管理者はネットワークに原因があると考えて調査を開始することになる。ところが、調査の前提としている通信速度が誤っている場合もあり得る。今回紹介するのはまさにそうした事例だ。

10G対応FTTHの検証でトラブル

 今回のトラブルの舞台は、松阪ケーブルテレビである。同社は三重県松阪市を中心にテレビやインターネットなどのサービスを提供しているケーブルテレビ事業者だ。ユーザーにFTTHサービスを提供するためのネットワークでトラブルが発生した。

 同社は現在1Gビット/秒のFTTHサービスを提供しているが、2021年には一部の地域で新たに10Gビット/秒のサービスを開始する計画だ。そのため新サービスに対応した機器を導入して動作を検証することにした。

 ここで同社のFTTHサービス向けネットワークの構成を見てみよう。ネットワーク全体を束ねるコアスイッチは松阪ヘッドエンドに置かれている。ヘッドエンドにはそのほか、サーバー群や管理コンソール、上位のインターネットに接続するためのBGP(Border Gateway Protocol)ルーターなどがある。

トラブルの舞台となったFTTHサービス向けネットワークの構成図
トラブルの舞台となったFTTHサービス向けネットワークの構成図
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 FTTHサービスを提供するための設備はサブセンターにある。FTTHでは、センター側にOLT(Optical Line Terminal)、ユーザーの家庭にONU(Optical Network Unit)という終端装置をそれぞれ置き、その間を光ファイバーでつなぐ。松阪ケーブルテレビのサービスエリアは広く、FTTHによる通信距離は最大20kmを超える。そこでサブセンターを設けてOLTを設置。通信距離を延長しているという。