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みずほ銀行が年末年始、立て続けにシステム障害を起こした。2021年末の最終営業日は、全銀システムに関する設定を誤り為替送信に失敗。約2700件の他行宛て振り込みが不能になり、約300件が当日中に処理できなかった。翌2022年1月11日には、法人向けインターネットバンキング(IB)がつながりにくくなった。同年1月17日に業務改善計画を金融庁に提出したが、実効性に疑問符がつく。

 みずほ銀行で年末年始、過去11カ月において9回目と10回目となるシステム障害が相次ぎ発生した。2021年12月30日、みずほ銀行は「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」の切り替え時間の設定を誤り、他行宛て振り込みが午後3時30分から約1時間できなくなった。約2700件の内国為替の送信がエラーになり、そのうち約300件は当日中に送信処理を終えられなかった。

 2022年1月11日、今度は法人向けインターネットバンキングの「みずほe-ビジネスサイト」でデータベース(DB)サーバーの処理遅延が発生し、同サービスが利用しづらくなった。いずれの障害も初歩的な設定ミスを見逃し、チェックも機能しなかった。

 みずほフィナンシャルグループ(FG)とみずほ銀行は2022年1月17日、金融庁から2021年11月26日に下された行政処分に従い、同庁に業務改善計画を提出した。みずほ銀行の藤原弘治頭取は2022年1月17日の記者会見で「これらの事象の再発防止策は今回の業務改善計画に可能な限り織り込んだが、今後、さらに検証を進め、しっかりと手を打っていく」と語った。

 しかし、みずほ銀行は2021年2月から9月まで立て続けに8回のシステム障害を起こし、その度に再発防止策を講じてきた。それでもシステム障害の連鎖を食い止められていない。今回の再発防止策についても実効性に疑問符がつく形となった。

 2021年12月30日のシステム障害の経緯はこうだ。障害の発端は、みずほ銀行の勘定系システム「MINORI」を構成する内国為替コンポーネントにおいて、同行が全銀システム関連の設定を誤ったことにある。

図 2021年12月30日に発生した障害の概要
図 2021年12月30日に発生した障害の概要
口座振り込みに関する設定を誤る
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 全銀システムは全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)が運営する。銀行間送金を担い、平日朝から夕方までの取引を「コアタイムシステム」、平日夜間や土日祝日の取引を「モアタイムシステム」が処理する。具体的には、コアタイムが平日の午前8時30分から午後3時30分、モアタイムがそれ以外の時間帯をカバーする。月末営業日は取引が膨らむため、全銀ネットはコアタイムの運用時間を前後それぞれ1時間延長し、午前7時30分から午後4時30分としている。

モアタイムへの切り替え設定を誤る

 ただし、年末営業日は別だ。年末営業日のコアタイムの運用時間は他の月末営業日とは異なり午前8時半から午後3時半までとなる。12月の取引のピークは20日前後で、年末営業日に決済がそれほど集中しないためだ。

 みずほ銀行は年末営業日におけるコアタイムからモアタイムへの切り替え時間の設定を誤った。2021年の年末営業日だった12月30日は、モアタイムへの切り替え時間を午後3時20分に設定する必要があったが、通常の月末営業日と勘違いして午後4時20分としたのだ。全銀ネットはコアタイムとモアタイムが並行稼働する時間帯を設けており、みずほ銀行はコアタイムが終わる10分前を、モアタイムへの切り替え時間に設定していた。

 みずほ銀行がモアタイムへの切り替え時刻を誤った結果、午後3時30分以降、既に稼働を終えているコアタイムに内国為替を送信してしまった。接続先がモアタイムに切り替わった後の午後4時25分ごろまでに受け付けた約2700件の他行宛て振り込みがエラーになった。