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 九州電力が引き起こした大規模なシステム障害が長期化している。2020年4月に控える発送電分離に伴う分社に向けて、2つの料金関連システムを刷新した際に生じた不具合が原因だ。2020年1月8日にシステム障害が判明してから、間もなく2カ月。98万超の顧客の料金計算に影響が及ぶ大規模トラブルは4月までに収束できるか。

九州電力本店
九州電力本店

重荷となる膨大な「例外処理」

 「九電は4月までに収束させると表明しているが、相当難しいのではないか」。ある電力関係者はこう指摘する。別の関係者は「まだ出口が見えない」と九電内で進む障害復旧の現状を明かす。

 九電はシステム障害の対応状況を随時公開しており、最新の2020年3月3日公表文書によると、電気料金の請求金額を確定できないトラブルに巻き込まれた98万超の顧客のうち、7割に当たる約69万2000件については対応を完了したという。だが、依然として残り3割、28万8000件はトラブルが解消していない。

 九電が抱える需要家(顧客)は約800万件に上る。単純計算で1日当たり、約40万件のメーター値を処理し、各種料金を算出している。

 電力業界ではよく知られた話だが、電気料金の計算には膨大な「例外」がつきものだ。例えば料金未払いで電力の供給が止まっていても電球1つ分の電気を供給する「1Aブレーカー」、原子力発電所の立地地域に支払われる「原子力立地交付金」、鉄塔による電波障害などへの補償費――。他にも多種多様な例外が存在し、これらを全て反映して料金を計算しなければならない。

 「膨大な例外が存在するのは、公益性を求められ、どんな場合であっても常に公平でなければならないという考え方が電力事業の根底にあるためだ」と電力関係者は説明する。膨大な顧客数、そして膨大な例外――。電力料金の計算システムの刷新にはこれらが重くのしかかる。九電もまさに「例外」ではない。

システム刷新は不可避だった

 九電がシステム刷新に臨んだ理由は、東日本大震災後に始まった電力システム改革の最終段階として2020年4月に実施する発送電分離に対応するためだ。

 大手電力各社は長年、「発電」「送配電」「小売」の3部門を垂直統合して会社を運営してきた。発電部門が発電した電気を、送配電部門が鉄塔や電線を組み合わせた送配電網である「系統」を使って、小売部門が開拓した需要家に届けるという具合だ。

 発送電分離は、大手電力会社の送配電部門の法的分離を意味する。具体的には送配電部門を別会社にするというものだ。