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JAやJA信連、農林中央金庫が一体運営しているJAバンクで、2021年夏以降、勘定系システムの不具合が3件発生した。2021年8月には27府県のJA窓口などで振込処理ができなくなった。続く9月には6県で顧客が「メルペイ」にチャージできなかった。2022年2月にはバッチ処理が異常終了し、口座振込などが未処理になった。

 JAバンクは全国のJA(農業協同組合)とJA信連(信用農業協同組合連合会)、農林中央金庫が一体運営している金融機関グループだ。JA信連は都道府県レベルの組織で、都道府県内のJAと連携して各種の金融サービスを担っている。農林中央金庫は農林水産業者の協同組合などを基盤にする全国規模の金融機関であり、JAバンクの勘定系システムは農林中央金庫が所管する。

 2021年7月時点でJAバンクに加わるJA、JA信連の法人数は農林中央金庫を含めて596に上る。2021年3月末時点の店舗数は6929、ATM(現金自動預け払い機)などの設置台数は1万1086で民間最大級の店舗網を擁する。

窓口から振込処理ができず

 1回目のシステムの不具合は2021年8月16日に発生した。午前11時30分ごろから午後2時20分まで、一部のJA・JA信連の店舗窓口で受け付けた振込処理ができなくなった。

 JAバンクの勘定系システムで、顧客から受け付けた振込指示などのデータを窓口端末などから入力する「為替発信取引」ができなくなったためだ。この不具合が発生したのは2つあるJAバンクのシステムセンターのうちの1つで、新潟県、富山県、京都府、岡山県、香川県、岩手県、茨城県、千葉県など27府県にあるJA・JA信連の窓口端末が接続している。

 27府県ではJA・JA信連の店舗のほか、JA信連の事務センターにある端末でも為替発信取引ができなくなった。

 この時点で、JA・JA信連の窓口で受け付けは済ませたもののシステムにデータが未登録だった振込依頼も少数だが存在した。それらの振込処理は為替発信取引ができる端末があった農林中央金庫が代行した。またATMやインターネットバンキング「JAネットバンク」では振り込みなどが可能だったので、顧客に代替手段として案内した。

 為替発信取引ができなくなった原因は、勘定系システムで発生していた別のトラブルへの対応にあった。この不具合が発生する直前、27府県が使用するシステムセンターでは、帳票がプリンターで出力できなくなるトラブルが発生していた。システム担当者がこのトラブルを復旧させるために、帳票をプリンターから再出力するコマンドを入力しようとしたところ、誤って為替発信取引の処理を終了させるコマンドを入力してしまった。不具合の原因は午後0時10分ごろまでに判明し、システムは午後2時20分に復旧した。

 勘定系システムを所管する農林中央金庫は再発防止策として、運用に関する規定や業務プロセスを再確認する他、複数の担当者が相互に作業内容などのチェックする体制を周知または再確認する取り組みを進めている。