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新型コロナウイルスの感染拡大を受けて多くの大学が始めた遠隔授業で、トラブルが続出した。サーバーへのアクセス集中や機器障害などによって、学生が授業に参加できなくなった。大学で遠隔授業が本格化したのは2020年のゴールデンウイーク(GW)前後のこと。新型コロナの感染拡大が日本で始まったのは2月であり、準備期間の短さがたたった。各大学の担当者は想定外のシステムトラブルへの対応に追われた。

 「システムにログインできないので授業を受けられない」「ログイン時にフリーズした」「もう授業開始時刻だしどうすれば…」──。GW明けの5月10日から11日にかけて、TwitterなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で、東海大学の学生とみられる投稿者から遠隔授業が受けられないとの報告が相次いだ。

 東海大は遠隔授業向けに「授業支援システム」と「キャンパスライフエンジン(CLE)」と呼ばれる2つのシステムをオンプレミスで運用する。前者は授業の教材提示やリポート提出、出席調査などの機能を備え、後者は学生への通知や個人連絡といった機能を備えるほか、授業支援システムやWeb履修システムへのポータルとして機能する。東海大は両システムを通じて遠隔授業の資料やURLなどを案内していたが、システムにアクセスできないトラブルが発生し、約2万8500人の在学生が影響を受けた。

表 ゴールデンウイーク前後に起きた大学での遠隔授業のシステムトラブル
表 ゴールデンウイーク前後に起きた大学での遠隔授業のシステムトラブル
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原因はネットワーク機器の異常

 システム障害が判明したのは、遠隔授業を開始する前日の10日16時頃。学生が授業の開始前に資料のダウンロードなどをすると想定していたため、大学の担当職員がシステムを監視していた。サーバーの稼働状況には異常が見られなかったが、職員が別件の対応をしていた際に異常に気づいた。システムへのログインに時間がかかる、画面の表示が遅いといった問題が起きていた。

 職員は当初、資料の事前ダウンロードなどによるアクセス増加を原因の1つと考えたが、開発・保守を委託するシステム会社に調べてもらううちにその可能性は低いと分かった。サーバーへのアクセス数がそれほど増えていなかったからだ。また独立した2つのシステムで同時にアクセス障害が発生していることや、システムを再起動するなどしてサーバーの負荷を下げた状態でも改善しないことからも、他に原因があると考えた。

 さらに調査を進めると、システムが稼働するネットワーク自体がつながりにくくなっていることが判明した。そこでシステムを運用するデータセンター(DC)内のネットワーク機器と、DCと外部ネットワークを接続している機器にパケットロスなどの通信障害などが起きていないかを調査。異常が発生している機器を特定して再起動を試みた。その結果、ネットワークのつながりにくさは解消して11日の12時45分に授業支援システムが復旧し、同日17時35分にはCLEも復旧した。

 東海大では現在、両システムの応答速度の低下を防ぐため、利用が集中しないような運用計画を立てて学生と教員の協力を得ながら運用を進めているという。ネットワーク機器に異常が起きた原因は5月下旬の時点では特定できておらず、システム会社からの報告待ちという。「システム会社と定期的に連絡を取り、サーバーとネットワークの監視を続けている」(東海大 大学広報部企画広報課)。また再発防止に向けて、周辺システムなども含めた監視の強化もシステム会社と共同で進めているという。通信障害という想定外のトラブルに見舞われたことを教訓に「障害時はすべてを疑う姿勢で対応する」(企画広報課)考えだ。