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ワクチン大規模接種の拡大に向けてITの課題が露呈した。国と地方で接種券番号などの情報共有が進まなかった結果、防衛省の予約サイトは架空予約や誤入力を防げない仕様となった。予約を妨害するサイバー攻撃が容易などのもろさも残る。限られた時間で改善できるか、行政関係者の知恵が試される。

防衛省が運営する東京大規模接種センターの前で順番を待つ人々(画像出所:防衛省)
防衛省が運営する東京大規模接種センターの前で順番を待つ人々(画像出所:防衛省)
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 新型コロナワクチンの接種を加速させるため、国による大規模接種会場の運営が東京都内と大阪市の2会場で2021年5月24日から始まった。2会場で計1日7500人の枠でスタートした接種は目立った混乱もなく進んでいる。

 しかし会場を運営する防衛省が5月17日に開設した接種予約サイトを巡っては、一部で混乱が起こった。接種対象者に配られている接種券を持たなくても、架空の情報で予約できることがサイトの開設後に判明したからだ。

 逆に接種対象者であっても、接種券の情報を誤って入力して予約すると接種当日に会場で予約が確認できない恐れがある。さらに一部の接種対象者について、正しい情報を入力しても認証エラーとなり予約ができない事象が発生していたことも分かった。

 防衛省は一部の事象については仕様の不備を認めてサイトを改修したものの、引き続き架空予約や誤入力で対応できないケースは残る。早期に接種会場を立ち上げるため同省が選択した割り切った仕様とはいえ、今後に課題を残した。根本的な課題は、ワクチン接種を加速させるうえで、市区町村を超えて情報連携すべき可能性を国があらかじめ想定できていなかったことだ。

 同じ課題は大規模接種会場の運営に乗り出す都道府県も直面している。「短期で市区町村と情報連携するのは困難」(東京都)と断念し、誤入力や架空予約に対応できない予約サイトを立ち上げようとしている都道府県が多い。