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2022年5月20日、トラストバンクの自治体向けサービスでトラブルが発生した。住民の申請データのうち、画像や添付ファイルが消失する事態に見舞われた。担当者が誤って空のフォルダを本番データと同期させてしまったのが原因だ。本来は日次で取得するはずのバックアップデータも残っていなかった。完全復元できず、自治体は住民から再申請してもらうなどの対応に追われた。

 「本サービスをご利用の自治体の皆さまには、ご迷惑をおかけしまして誠に申し訳ございません」――。

 2022年5月20日午後5時30分ごろ、トラストバンクが自治体向けに提供するサービス「LoGoフォーム」でトラブルが発生した。同サービスで取り扱っている住民の申請データのうち一部の画像や添付ファイルなどが突如消失してしまったのだ。トラストバンクは同日、契約自治体に障害発生の旨を連絡。5月22日と23日には同社サイトで謝罪するとともに経緯を説明した。

 LoGoフォームは行政手続きのオンライン申請やアンケートフォームをノーコード/ローコードで自治体職員が手軽に作成できるサービス。自治体の専用ネットワークである「LGWAN(総合行政ネットワーク)」を介して利用できる「LGWAN-ASP」として提供され、2022年2月1日時点で全国428団体が利用している。自治体の行政手続きオンライン化が進む中で、契約数を伸ばしていた。

 データが消失した原因は担当者の作業ミスだった。さらに当時は日次バックアップを一時停止しており、最終的に2022年4月21日時点のデータしか復元できなかった。消失したデータは住民がLoGoフォームで申請したりアンケートに回答したりした際の添付ファイルなどが中心で、最大257団体の1万7385件に及んだ。自治体は住民から再度申請してもらうなどの対応に追われる羽目となった。

同期の設定ミスでデータ消失

 データ消失のきっかけとなったのは、LoGoフォームのサーバーの処理負荷軽減対策として5月20日午後5時5分ごろから実施したバッチサーバーの構築作業だった。この際、バッチサーバーとファイル保管(NFS)サーバーの同期設定を誤った。

 本来はバッチプログラムのフォルダのみを同期するはずだったが、バッチサーバー側の空のフォルダとファイル保管サーバーのフォルダを誤って同期させてしまった。ファイル保管サーバー側のフォルダにはLoGoフォームの一部の画像や添付ファイルが格納されており、空のフォルダと同期されたことで消失した。LoGoフォームの他のデータは別のサーバーで保管しており、今回のデータ消失の影響は受けなかったという。

 バッチサーバーの構築を担当する作業者が異変に気付いたのは午後5時25分。LoGoフォームで取り扱う画像が表示されない事象が発生した。午後5時33分にはファイル保管サーバーのデータが消失していることを確認し、ファイルの同期処理を即座に停止した。原因を調べたところ、午後5時50分にはバッチサーバーの構築作業が原因だったと判明した。

 ファイル保管サーバーは2台の冗長構成にしてあり、リアルタイムでファイルを同期させていた。本番系の1号基のデータが消失したため、予備系の2号機のデータまで同時に消失してしまった。

図 トラストバンクの「LoGoフォーム」でデータが消失した原因
図 トラストバンクの「LoGoフォーム」でデータが消失した原因
バッチサーバーの構築作業中に誤って空のフォルダを同期させてしまった
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