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東京都から受託した感染対策サイトが「分かりやすい」と評判を呼んだ。東日本大震災復興サイトでの経験を原点に市民の立場で行政を支援する。オープンソースの力で行政の情報活用と組織の枠を超えた横連携を促す。

 新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年3月以降、感染者の集計ミスが頻発するなどIT活用で立ち後れた国や地方自治体の問題が噴出している。その中で、行政機関のIT化を支援して成果を上げているのが、関治之が率いる非営利法人(NPO)のコード・フォー・ジャパン(CFJ)だ。

(写真:陶山 勉)
(写真:陶山 勉)
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 東京都から受託した新型コロナ感染症対策サイトは、感染者情報を詳細かつビジュアルに表現でき、3月の公開とともに「情報が分かりやすい」と評判を呼んだ。開発したコードをオープンソースソフトウエア(OSS)として公開したことで、派生版の開発も進んだ。愛知県や岡山県の公式サイトなど、これまでに30以上の新型コロナ対策の地域版サイトが登場している。

 CFJの代表理事としてプロジェクトを率いた関治之は「Linuxの成功などOSSの価値を体現してきた世代として、(地域の市民や有志のエンジニアによる)コミュニティーの力を借りて、多くの自治体の課題解決に協力したい」と自らの役割を語る。

 東京都公式サイトでOSSにした成果の1つが多言語化だ。関によると、中国語など多言語版のコード修正に貢献したエンジニアの1人が台湾のIT担当大臣を務めるオードリー・タン(唐鳳)だ。タンも台湾で行政のIT化を支援するNPOに参画し、CFJと交流があった。コミュニティーの力が新型コロナ対策サイトの成功をけん引した。

接触確認アプリで先陣を切るが

 政府の新型コロナ感染予防対策への関わりでも注目を集めた。Bluetooth技術を活用し、感染者と濃厚接触した可能性を利用者に通知するスマートフォンアプリを開発する中心的な民間団体としてCFJの名前が挙がったのだ。

 政府は当初、アプリの開発と普及を民間に任せ、その後押しに回ることでアプリを広く普及させるシナリオを描いた。関はアプリをいち早く開発したシンガポールの事例に着目した医師らとともに、政府関係者に日本版アプリの開発を3月末に提案した。CFJで開発プロジェクトを立ち上げるなど、アプリ開発で先頭を走っていた。