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リリース後4カ月で利用者が7万人を超えた「シン・テレワークシステム」。わずか2週間という期間で開発したのが天才ITエンジニアの登大遊だ。NTT東日本という日本の伝統的な大企業の中で、成し遂げたいことがあった。

 NTT東日本が2020年4月から無償で提供するシン・テレワークシステムは、8月末時点で地方自治体や企業の約7万人が活用している。VPN(仮想私設網)技術を基に、オフィス内のパソコンを自宅からリモートで操作できるようにするなどテレワーク用の機能を追加したシステムだ。応答速度が速く使いやすいのが特徴だ。

 開発したのは登大遊。NTT東日本に4月に「特殊局員」との肩書で入社した後、たった2週間で完成させた。新型コロナ禍のため入社直後から在宅勤務となり、特段の仕事もない。そこで「プログラムで社会課題を解決できないか」と思い立ち一気に作り上げた。

(写真:陶山 勉)
(写真:陶山 勉)
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 登は天才エンジニアとして知られた存在だ。小学生の頃にプログラミングを始め、筑波大学の学生だった2003年には、情報処理推進機構(IPA)の「未踏ソフトウェア創造事業」でVPNシステム「SoftEther VPN」を開発、スーパークリエータ認定を受けている。

 SoftEther VPNの利用者は現在、400万ユーザー(サーバー台数)に達する。40万ステップあるソースコードはオープンソースソフト(OSS)としてGitHubなどで公開し、米国やイタリア、中国など世界中のエンジニアの協力を得てプログラムを育ててきた。

 そして2020年4月、登はソフトイーサ経営者という立場にもかかわらず、NTT東日本に入社して非常勤社員になった。登にとってNTT東日本は日本の通信環境改善のために議論を重ねてきた間柄だ。とはいえ、なぜ「入社」なのか。「日本の大企業であるNTT東日本で10年から20年かけてやりたいことがある」と登は話す。