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民間企業の出身者が群馬県で地方行政のデジタル変革を主導する。職員が主役の変革を進められるようノーコードツールなどの活用を促す。「現場から変える」との姿勢を貫き、目指すは「最先端デジタル県」だ。

岡田 亜衣子(おかだ・あいこ)氏
岡田 亜衣子(おかだ・あいこ)氏
1974年生まれ。1996年東京外国語大学卒、2010年芝浦工業大学専門職大学院技術経営修士課程修了。NTT、インテルジャパン、クアルコムジャパンなどを経て2020年1月群馬県CDOに就任。2021年4月より現職。(写真:今井 雅文)
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 2021年4月に知事直下に新設されたデジタルトランスフォーメーション(DX)推進監として、行政DXを統括している。県民向けサービスなどのDXを推進するデジタルトランスフォーメーション(DX)課と、庁内の情報システムと業務改革を担う業務プロセス改革(業プロ)課を取りまとめている。

 私は約10年にわたり、IT企業などで政策渉外の仕事をしてきた。経済産業省出身の宇留賀敬一副知事とはもともと面識があった。前職を退職した直後の2019年秋に、副知事に就任したばかりの宇留賀氏から声をかけられ、山本一太知事とも話をした。その際「この人たちと一緒に働けば面白そうだ」と思い、当初は非常勤のCDO(チーフ・デジタル・トランスフォーメーション・オフィサー)の仕事を引き受けることにした。その後、2021年4月からは常勤のDX推進監となった。

コロナ禍で一気にDXが進む

 CDOに就任した2020年1月以降の2年間で、新型コロナウイルス感染症対策を軸にDXを一気に進めてきた。その成果の1つが、2021年10月に新型コロナワクチン接種記録をスマートフォンに表示する「ぐんまワクチン手帳」を全国に先駆けて導入したことだ。海外動向を調べた宇留賀副知事からそうした仕組みが必要と言われ、2021年7月から準備を進めた。

 わずかな期間で導入できたのは、県のLINE公式アカウント「群馬県デジタル窓口」の登録者数がリリース前時点で約55万人と、県の人口の3割弱に達していたのも大きい。2021年4月には約7万人だったが、新型コロナ対策でLINEを活用したことで急増した。具体的には、各人に合ったコロナ関連情報を提供をする「新型コロナ対策パーソナルサポート」やワクチン接種予約システムなどをLINE上で提供した。