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邦銀最大手はシステムと業務を一体で見直す戦略を推進中だ。その一丁目一番地を勘定系システムと位置付ける。システム子会社には従来の業務の枠を超えた「領空侵犯」を求める。

越智 俊城(おち・としき)氏
越智 俊城(おち・としき)氏
1991年3月一橋大学商学部卒、同年4月三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。三菱UFJニコス常務執行役員などを経て、2022年4月より三菱UFJフィナンシャル・グループ執行役常務グループCIOと三菱UFJ銀行常務執行役員CIOを兼務。(写真:北山 宏一)
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 2021年から、グループCEO(最高経営責任者)の亀澤宏規社長が直轄するプロジェクトチームを中心に「アーキテクチャ戦略」を推進している。業務部門とシステム部門が一体になり、5~10年かけて、システムを抜本的に見直す計画だ。

 当社は2015年ごろに「クラウドファースト」を打ち出し、システムのクラウド移行を進めてきた。米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のクラウドを中心に利用しており、米マイクロソフトのAzureや米IBMのIBM Cloudも一部で活用している。現状、三菱UFJ銀行は1000ほどのシステムを運用しており、足元で約350システムをクラウドに移した。

「リアーキテクト」と「リビルド」推進

 アーキテクチャ戦略では、こうしたクラウドへの移行も含めて、グループ企業全体のシステムのアーキテクチャーを見直す。一丁目一番地と位置付けるのが、勘定系システムの変革だ。勘定系という土台がしっかりしていないと、顧客へのサービス提供はおぼつかない。その安定性は金融機関の根幹であり、軽視することはできない。

 戦略の方向性は2つある。1つが、勘定系などの業務アプリケーションをアーキテクチャーレベルで見直す「リアーキテクト」だ。預金など大量のトランザクションを短時間で処理しながら、同時に高い信頼性が求められるアプリケーションが対象となる。ここはメインフレームに残すが、一部の機能を整理・統合することは考えられる。