食品スーパー大手のベイシアがDX(デジタル変革)に力を注いでいる。OMO戦略の推進や内製部隊の発足など、怒濤のデジタル攻勢を仕掛ける。主導するのは事実上のCDO(最高デジタル責任者)を務める亀山博史氏だ。
日本にもこれほどレベルの高い企業グループがあるのか――。
ベイシアグループの幹部陣と初めて会った際、驚いたのをよく覚えている。手前味噌かもしれないが、ホームセンター大手のカインズや衣料品大手のワークマン、そして私が入社した食品スーパー大手のベイシアなどを傘下に納めるベイシアグループは、デジタルを本気で経営の武器にしようとする日本で数少ない企業だと思う。
私がベイシアに入社することになったきっかけは、カインズの土屋裕雅会長(創業家2代目でベイシアグループの実質的なトップ)との面会だった。前職ではスターバックスコーヒージャパンのIT部門の責任者を約5年間務め、次のキャリアについて考えていた。
土屋会長は米ウォルマートがITを駆使してどのように米アマゾン・ドット・コムと伍しているかを熱弁し、ベイシアグループもデジタル投資に大胆に踏み込む方針であることを話してくれた。ここまでデジタル戦略に本腰を入れる経営者がいるのかと感銘を受けたのと同時に、自分が培ったスキルや経験をここで生かしたいと思い、食品スーパーのデジタル戦略を主導できる人材を探していたベイシアへの入社を決意した。
私が入社する前後でベイシアグループの各社には業界トップクラスのIT人材が続々と入社している。そういった人たちと情報共有しながらデジタル戦略を進められるのは、本当に恵まれた環境だと思う。