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2万席を超えるコールセンターのシステム基盤を一手に担うIT部門。7年近く率いてきたCIOはシステムの内製と「失敗の経験」の重要性を説く。今後はAI(人工知能)を活用した次世代コールセンターの実現に挑む。

松田 裕弘(まつだ・やすひろ)氏
松田 裕弘(まつだ・やすひろ)氏
1991年に三菱電機入社。日本総合研究所などを経て2006年にイーバンク銀行(現楽天銀行)に転じシステム開発本部長などを歴任。14年1月ベルシステム24(現ベルシステム24ホールディングス)入社、CIOテクノロジー本部長に就任。20年9月1日より現職。(写真:陶山 勉)
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 3年前にCRM(顧客関係管理)システムを刷新したのを機に、開発体制を外部委託から内製に切り替えた。CRMは2万席を超えるコールセンターの顧客応対履歴を管理する基幹システムだ。それまで約30人の外部エンジニアが常駐していたが、子会社のエンジニアなども動員して社内開発体制を整えた。

 私は前職のイーバンク銀行(現楽天銀行)でオンライン・バンキング・システムの開発などに携わった経験から、2014年に入社した当時から外部委託を疑問視していた。最初の2~3年は黙って見ていたが、開発のスピードやコストを考えて内製化を決断した。私が思うに、外部委託をしてよいのは事業会社側にITベンダーを変更できる能力がある場合だけだ。特定のベンダーがいないと仕事にならないようでは、外部委託というより「外部依存」だ。

 私自身も数え切れないほど失敗してきたので、IT部員には「ローンチまでは多少のトラブルが起きてもよい」と伝えた。失敗の経験は成長へとつながる。外部委託では失敗で得たノウハウが流出してしまう。IT部員が汗水を流して内製してこそ社内に蓄積される。

 会社自体に失敗を受け入れる文化があることも幸いしている。私がCIOを務めた間に何度か、CRMを含めた基幹システムの工期延長や追加予算を経営会議で承認してもらった。そのことは誠に申し訳なく思っている。ただし品質面での失敗、つまり品質の悪いシステムをローンチすることは許容できない。これだけは絶対だと思っている。