メガバンクのCIO(最高情報責任者)として攻めと守りのバランスを重視する。勘定系を含めてDX(デジタル変革)全般に目配りできるIT部門を目指す。システム内製化を進め、目指すは事業部門を引っ張る「DXコンサル」だ。
ITは攻めと守りのバランスが重要だ。グループCIO(最高情報責任者)として、攻めと守りの両方に目配りできる「両利きのIT組織」をつくることを基本的な考え方にしている。従来の守りの領域だけでなく攻めの領域でも、IT部門が「DX(デジタル変革)コンサルタント」としてビジネスサイドを引っ張る存在になることが目標だ。
両利きのIT組織をつくり上げるため、現在システムの内製化を進めている。攻め、守りの双方で自ら手を動かせるようになって初めて、両利きになれると考えている。グループのITを担う子会社の日本総合研究所には、プロジェクトマネジメントにたけた人材は大勢いるが、自前開発はあまりやってこず、IT企業に頼る部分が多かった。これではいけないと考え、特に攻めの領域の強化に向け内製化に舵(かじ)を切った。
3年ほど前に、外部から人材を採用し、日本総研にアジャイル開発チームをつくった。ビジネスサイドと一体になって開発を進めている。例えば銀行の業務領域に関する規制緩和に合わせ、温暖化ガスの排出量を可視化するクラウドサービス「Sustana」を開発し、2022年5月に企業向けに提供を始めた。既存の技術者もアジャイル開発チームに参画し、リスキリング(学び直し)の場としても機能させている。