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第一生命保険はDX推進組織を2020年4月に新設した。部門横断で進めてきたデジタル化の取り組みの成果を踏まえ、全社的なDXの旗を振る岩井泰雅氏は「まず課題ありき」でチームを率いる。

岩井 泰雅(いわい・やすまさ)氏
岩井 泰雅(いわい・やすまさ)氏
1987年第一生命保険入社。2013年生涯設計開発部長。同社の執行役員兼生涯設計教育部長を経て、2018年に第一生命保険グループに新設されたヘルスケアサービスを提供するQOLead社長(兼務)。2020年4月より現職。(写真:陶山 勉)
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 2020年4月に、全社的なDX(デジタル変革)を担うイノベーション推進部を発足させ、私が部長に就任した。

 「他社に比べデジタル推進組織を発足するのが遅いのではないか」と思うかもしれないが、我々が進めるDXは「まず組織ありき」ではない。当社は2015年から案件ベースでデジタル化に積極的に取り組んでおり、私はその取りまとめ役を担ってきた。

 保険と技術を融合するInsTech(インステック)で、顧客に新たな価値やサービスを提供できないかという検討を始めたのは2015年のことだ。同年12月に「InsTechイノベーションチーム」という名のクロスファンクショナルチームを作った。保険審査やマーケティング、ヘルスケア、統計データを所管している部門などが、各部署の進めるデジタル施策について共有し、互いに協力する体制を築いた。

 私は、全社あるいは各事業部の具体的な課題に着目し必要なサービスを作るという視点を大事にしている。クロスファンクショナルチームが担ったデジタル案件には、顧客に保険以外のサービスを提供する健康増進アプリや営業職員向け保障プラン作成支援AI、AI OCR(光学的文字認識)基盤などがある。全て課題ありきで生まれたサービスだ。

保険とヘルスケアを融合

 健康増進のための「健康第一アプリ」は特に印象に残る案件だ。2017年にリリースし、2020年11月時点で150万件ほど利用登録されている。保険契約の確認や変更手続きだけでなく、歩数計測やカロリーチェック、健康診断結果の読み取りなど、ヘルスケア機能も含むサービスだ。スタートアップを含む24社とタッグを組み、Microsoft Azure上でシステムを構築した。当時としては先進的だったと自負する。