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世界大健康博覧会で、睡眠医学の展示をしている武漢市赤十字病院ブース(2022年8月5日撮影)。(c)CNS/李長林
世界大健康博覧会で、睡眠医学の展示をしている武漢市赤十字病院ブース(2022年8月5日撮影)。(c)CNS/李長林
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【9月7日 CNS】中国睡眠研究会の統計データによると、2021年に3億人以上の中国人が睡眠障害を訴え、成人の不眠症の罹患(りかん)率は38.2%に達したという。2022年には、中国社会科学院(CASS)などが、睡眠の質を上げることが人々の生活状況の改善につながり、国民の睡眠の質の向上を「民生プロジェクト」とすべきとの報告書を発表した。

 中国の不眠症の人たちは、膨大な「睡眠経済」を生んできた。艾媒データセンターのデータによると、中国消費者の40.36%が、睡眠障害に直面したとき、睡眠補助製品を購入するという。

 睡眠補助製品の受容度は比較的高い。製品の種類の増加と技術向上により、中国の睡眠経済の市場規模は2021年に4000億元(約8兆1000億円)を超えたという。

 清華大学(Tsinghua University)経済管理学院経済学部の韓秀雲(Han Xiuyun)副教授は、睡眠経済は睡眠ハードウエア、睡眠薬、睡眠サービスの3分野に分けられ、3億人の中国人の睡眠障害を解決できる人は富の暗号を握ることになると語った。

 睡眠ハードウエアは、快眠マットレスが一般的で、最も成長が期待できるとみられている。例えば、磁気波によって体内の気血の循環を整え、睡眠補助の役割を果たす磁気治療マットレスや、催眠音楽による低周波振動で不眠症の人の脳波を調整し、睡眠状態に導く音楽催眠マットレスなどが挙げられる。

 近年、睡眠薬の発展も見逃せない。例えば、カモミール、纈草(けっそう)の根、酸棗仁(サンソウニン)などのエキスは、睡眠の質を高め、ストレスを緩和するなどの効果があるとされる。植物エキスは「天然で無公害」という条件も満たしているため、より人気が高まっている。また、アミノ酸系の薬は、タンパク質の合成を促進し、回復を促進する栄養補給方法であるため、精神安定・睡眠改善効果があるとされている。さらに、メラトニンや睡眠グミ、睡眠ドリンクなども一役買っている。

 一方、睡眠サービスは、さまざまなスマホアプリで提供され、近年、ASMR(アスマー、自律感覚絶頂反応)動画が人気を集めている。