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 だが今年に入ると、潮目が変わった。国家市場監督管理総局は2月、テスラに対し車両の異常な加速や電池の発火の問題が報告されているとして対策を指示。4月に開かれた上海国際自動車ショーでは、衝突事故を起こしたというテスラ車の女性オーナーが「ブレーキに問題があった」としてテスラの展示車の屋根に乗って抗議。動画が拡散し、テスラのイメージが悪化した。6月下旬には、自動運転システムに不具合があるとして2019年以降に中国で販売した28万6000台をリコールすると届け出た。同期間の販売台数の9割超に相当する。

 こうした流れを受け、海外メディアからは今月初めまで「中国政府とテスラの蜜月に変化」「中国の国産企業がEV市場のシェア拡大か」という論調の報道が相次いだ。しかし、低コストのリン酸鉄リチウムバッテリー(LFP)を採用し、「価格破壊」を実現した標準モデル仕様の登場で、情勢を大きく転換した。

 ただ、気持ちが穏やかでないのが、つい最近モデルYのロングレンジ仕様を購入した消費者だ。「ほとんど性能が変わらないのに7万元以上も違うなんて」「テスラのディーラーから『今すぐ買わないと納車が遅くなる』と言われて買ったのに」「契約してまだ車も来ていない。今からでも標準レンジ仕様に取り換えてほしい」。中国メディアの取材やインターネットの書き込みでは、こうした不満やぼやきが多く見られる。

 最近の中国では「割韭菜(ニラを刈る)」という言葉がある。もともとは株式用語で、未熟な個人投資家が投資に失敗しても次から次へと新たな投資家が現れる状況を「刈っても刈っても生えてくるニラ」に例えたもの。「ユーザーはいくらでもいるから、市場や企業は個々人の損失など気にしない」という意味で、複数の中国メディアが「ロングレンジ仕様のオーナーはテスラに『ニラ刈り』された」と皮肉っぽく伝えている。

(c)東方新報/AFPBB News 【翻訳編集】AFPBB News