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【8月24日 東方新報】中国では生活のあらゆる場面で個人の識別に顔認証技術が導入されている。プライバシーの侵害や犯罪に悪用される不安から批判が高まり、最高人民法院(最高裁)は7月下旬、商業目的の顔認証技術の使用を制限する見解を示した。

福建省福州市の地下鉄に設置されている顔認識システム(撮影日不明、資料写真)。
福建省福州市の地下鉄に設置されている顔認識システム(撮影日不明、資料写真)。
(c)CNS/張斌
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 スマートフォンのロック解除、飲食店での注文や支払い、勤務先への入居、ショッピングモールの買い物、銀行、空港、ホテル、さらには帰宅時のマンションの入り口…。中国の市民は朝から晩まで、1日に何度も顔認証を求められるのが当たり前となった。中国の警察は犯罪抑止や指名手配容疑者の追跡のため街角に防犯カメラ設置を進めており、中国メディアも「社会の安定に貢献」と肯定していたが、最近は風向きが変わってきた。顔認証で撮影された顔写真が裏ルートで流通し、本人の銀行口座などが特定されたり、本人になりすました犯罪が行われていたりする懸念が広がっている。裏ルートでは、数千枚の顔写真がわずか2元(約34円)で売買されているという。

企業が勝手に客の顔認証情報を収集

 企業が勝手に客の顔認証情報を収集する動きも目立っている。「世界消費者権利デー」の3月15日に合わせて著名企業の不正を告発する中国国営テレビの番組「315晩会」は、ドイツのBMWや米国のユニットバスメーカーのコーラー(Kohler)、イタリアのアパレル大手マックスマーラ(Max Mara)などが中国の店舗で顔認証カメラを設置し、同意を得ずに来店者情報を保存していたと報道した。

 顔認証をめぐっては2019年、浙江理工大学(Zhejiang Sci-Tech University)法学部の郭兵(Guo Bing)副教授が、浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)にある杭州野生動物世界(Hanzhou Safari Park)を提訴した。年間パスポートを購入した後、本人確認の方法を顔認証システムに一方的に変更され、「顧客の同意なしに生体情報の収集を強制するのは消費者権益保護法違反」と主張した。「顔認証を巡る中国初の裁判」と注目され、杭州中級人民法院は今年4月、一方的な変更は契約上のルール違反と判断を下した。