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 データ活用サービスの開発競争で3大クラウドがしのぎを削っている。Microsoft Azureは、幅広いサービスをAD(Active Directory)によるアクセス制御下で使えるのがライバルに比べた強み。AWS(Amazon Web Services)と同様に、データウエアハウス(DWH)を進化させてGCP(Google Cloud Platform)の「BigQuery」を追撃。データ分析基盤の拡充に本腰を入れてきた。

 Azureが提供するデータ活用関連のサービスは幅広い。IoT(インターネット・オブ・シングズ)に向けた「IoT Hub」やデータ連携機能「Data Factory」などを通じて各種データを収集。「Data Lake Storage」で構築したデータレイクに格納したデータをDWHの「SQL Data Warehouse」やデータベース(DB)「Cosmos DB」で分析し、BI(ビジネスインテリジェンス)ツール「Power BI」で可視化する一連のデータ活用サービスをワンストップで提供する。

Microsoft Azureのサービスを使ったデータ活用の流れ
Microsoft Azureのサービスを使ったデータ活用の流れ
(出所:日本マイクロソフト)
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 日本マイクロソフトの岡本剛和Azureビジネス本部 プロダクトマーケティング&テクノロジ部 エグゼクティブプロダクトマネージャーはAzureの強みを「適材適所で使える幅広いラインアップによる総合力と、それらサービスをADによるアクセス制御下でセキュリティーを保ちながら活用できる」と説明する。組織の誰にどのデータへのアクセス権を与えるかなどを、ADのアカウントベースで簡単に設定できる。この手軽さは他のクラウドにはまねできない。

 そうした強みをさらに伸ばすべく、同社はADの利用拡大に力を入れている。普及にはオンプレミス(自社所有)環境からAzureへの移行を促すほか、Microsoft Office 365も足がかりにできる。Office 365の導入に伴い、ADによるIDインフラが整備されるからだ。

 AWSやGCPとは異なり、オンプレミスにWindowsユーザーを持つのもMicrosoftの強みといえる。各種製品をデータ活用の入り口として、それらユーザーをAzureへ引き込める。注目株はPower BIである。

 「無料版でもかなりの分析作業が可能なPower BIはコストメリットに優れる」。Power BIを高く評価するのは、BI専業ベンダーであるジールの永田亮磨SIサービス第三本部 ビジネスアナリティクスプラットフォーム事業部 シニアコンサルタントである。

 永田シニアコンサルタントは「Excelを使い慣れたユーザーがオンプレミス環境でPower BIを使ってデータ分析を始める。数年かけてそうしたユーザーが増えてきた段階でAzure上にデータ活用基盤を作ろうかと話が進むケースがある」と、Power BIを入り口にしたAzure活用のシナリオを説明する。