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 データ活用サービスの開発競争で3大クラウドがしのぎを削っている。GCP(Google Cloud Platform)の強みは、データウエアハウス(DWH)サービス「BigQuery」の性能、使い勝手の高さにある。BigQueryは大規模分散処理でこれまでライバルに先行してきた。AWS(Amazon Web Services)とMicrosoft AzureはBigQueryを意識してDWHサービスの進化を急いでいる。

 企業向けシステムをターゲットにBigQueryへの移行サービスやデータ統合サービスを相次ぎ投入したGCP。AWSやAzureにとってライバルの手ごわさは増すばかりだ。

 「BigQueryは広い意味でのサーバーレスが特徴。ユーザーはノードクラスターやキャパシティー、インデックスなどを管理することなく、大量データをすぐ高速に分析できる」。グーグル・クラウド・ジャパンの寳野雄太Google Cloud スペシャリストカスタマーエンジニアリング 技術部部長はBigQueryの強みをこう話す。

 AWSがオブジェクトストレージ「Amazon S3」を中心に据えるのに対し、「GCPではBigQueryがデータ分析の心臓に当たる」(寳野部長)。BigQueryにデータを集めてさえおけば、ETL(Extract、Transform、Load)機能を持つ「Google Cloud Dataprep」などでデータを整形しながらBigQueryで大量データを簡単に分析できる。ユーザー企業が持つデータをGCPが総取りするシナリオに向けたキラーサービスがBigQueryなのだ。

BigQueryを中心にしたGCPのデータ分析サービス
BigQueryを中心にしたGCPのデータ分析サービス
(グーグル・クラウド・ジャパンの資料を基に作成)
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 「最近ではETLではなくELTの順番でDWHにデータをロードしてから加工する例も増えてきた」とクラウドエースの高野遼 取締役(CTO)。「BigQueryにデータをロードしてから加工するほうが楽だし、そのほうが不要なデータが入らないきれいなデータレイクを作れる」(同)とBigQuery活用のメリットを語る。