「この場合どうすれば早く止血できる?」――。若手の執刀医が相談するのはAIを搭載した手術支援ロボットだ。手術支援ロボットがカメラに映った体内の状態を認識し、「この血管の配置であればこのパターンが良さそうです」と応答する。別の場面では「この角度で器具を動かすと次の操作で出血しやすいです。慎重に作業してください」と執刀医にアラートを出す。今後手術支援ロボットは手術の手技をサポートするだけではなく、執刀医の判断をアシストする役割も果たしていく。
これは手術支援ロボットを利用する医師が考える将来の手術の様子だ。「AIはこれまでの手術映像や論文、文献を大量に学習できる。人間では読み込む分量に限度がある。これまで手術の手技は医師の感覚で表現されてきたが、データが集まれば定量的に示せる」とある医師は期待する。現在は既存の手術をサポートするロボットが実用化された段階だが、将来は人の手では難しい手術をサポートするロボットや人の判断を手助けしたりするロボットが開発される可能性がある。
