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LLDPで詳細な情報をやりとり

 給電機器と受電機器のネゴシエーションには、ここまで説明してきた電圧を使うハードウエアベースの方法のほかに、LLDPというプロトコルを利用したソフトウエアベースの方法もある。LLDPはネットワーク機器が隣接した別の機器を検知するために使われる。それをPoEのネゴシエーションに応用した格好だ。

 基本的な仕組みは、まずハードウエアベースのクラス分類が完了して給電を開始したら、給電機器はLLDPのパケットを受電機器に送信する。受電機器はそれに対して、同じくLLDPのパケットを返信する。このやりとりで詳細なネゴシエーションが可能となる。例えば、クラスで決められた大まかな最大電力ではなく、0.1W刻みで使用電力を通知するといったことができる。

電流を流し続けて接続を維持

 一連のネゴシエーションを終えると、給電機器は受電機器に電力を流し続けるが、もし受電機器が取り外されたら、電力の供給を停止する必要がある。受電機器が取り外されたと給電機器が判断するための仕組みが「MPS」である。

 MPSでは受電機器が給電機器に対して、一定間隔で微弱な電流を流す。給電機器がこの電流をある期間(例えば400ms)検知しないと、給電機器は受電機器がつながっていない、あるいは動作していないと判断して電力供給を停止する。これによりPoEでの消費電力を削減できる。

欠かせない安全対策

 電力を扱うPoEには安全対策が欠かせない。これは基本的に各スイッチメーカーが独自に工夫している。

 シスコシステムズの場合、同社のPoEスイッチには2種類の過電流保護機能が搭載されている。1つはポート単位、もう1つはスイッチ全体の保護機能である。

 ポート単位の保護機能は、ポートから過電流が流れないようにする。例えば、1ポート当たり15.4Wを供給するPoEスイッチでは、接続先の機器の消費電力が約17Wを超えるとポートからの電力供給を停止する。

 一方のスイッチ全体の保護機能では、電源装置に過電流を防ぐヒューズが組み込まれている。温度が上昇すると抵抗値が増えて電流が流れにくくなる「PTC」と呼ばれる部品を主にヒューズとして使っているという。