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 森ビルが戦略エリアと位置づける東京・港区の北側の一帯では1986年完成の「アークヒルズ」を皮切りに、「愛宕グリーンヒルズ」(2001年)、「六本木ヒルズ」(03年)、「アークヒルズ仙石山森タワー」(12年)、「虎ノ門ヒルズプロジェクト」(14年の森タワー以降、進行中)と大規模な都市再生事業が断続的に行われている。

 森ビルの建築設計部門で六本木ヒルズの設計に携わった後、タウンマネジメント部門を経て、現在は都市開発本部計画企画部統括部長補佐・計画推進部部長を務める大森みどり氏は、「これらが連鎖し、各々の役割を果たすことが重要」と強調する。

 例えば虎ノ門ヒルズは、「イノベーションに挑戦したい人にとって魅力的な街とは何かを突き詰めたプロジェクトだ」(大森氏)。結果的に、その門前にあたる新虎通り沿いのビルにはスタートアップ企業が集積し始めている。森タワー以降、ビジネスタワー、レジデンシャルタワー、ステーションタワーの3つのプロジェクトが、2019年度から2022年度にかけて順次完成する予定だ。

虎ノ門、麻布大、赤坂、六本木エリアにおける森ビルの開発プロジェクト(資料:森ビル)
虎ノ門、麻布大、赤坂、六本木エリアにおける森ビルの開発プロジェクト(資料:森ビル)
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虎ノ門・麻布台プロジェクト全体の完成予想イメージ(資料:森ビル)
虎ノ門・麻布台プロジェクト全体の完成予想イメージ(資料:森ビル)
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 その中で2019年8月に着工した大規模開発が、「虎ノ門・麻布台プロジェクト」だ。

 森ビルが地元と再開発組合(設立認可は18年、準備組合設立は1993年)を組織して進めてきた市街地再開発事業で、約8.1万m2の計画区域内に、オフィスや住宅などで構成する超高層ビル3棟と、商業施設や文化施設などで構成する低層棟4棟を建設する。総延べ面積は約86万m2。完成後の就業者数は約2万人、居住者数は約3500人を見込む。森ビルが手掛けてきた都市再生事業の中でも最大規模となる。完成予定は23年3月。

虎ノ門・麻布台プロジェクトの工事現場(19年11月撮影)(写真:大山 顕)
虎ノ門・麻布台プロジェクトの工事現場(19年11月撮影)(写真:大山 顕)
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虎ノ門・麻布台プロジェクトの工事現場(19年11月撮影)(写真:大山 顕)
虎ノ門・麻布台プロジェクトの工事現場(19年11月撮影)(写真:大山 顕)
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 虎ノ門・麻布台プロジェクトのコンセプトは、「緑に包まれ、人と人をつなぐ『広場』のような街―Modern Urban Village(モダン・アーバン・ビレッジ)―」。その柱には、「Green」(グリーン)と「Wellness」(ウエルネス)を掲げる。

虎ノ門・麻布台プロジェクトの中央広場の完成予想イメージ(資料:森ビル)
虎ノ門・麻布台プロジェクトの中央広場の完成予想イメージ(資料:森ビル)
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 人の流れや人が集まる場所を重視し、街の中心に約6000m2の広場を配置。緑豊かなランドスケープを創出し、そこに超高層ビル3棟、低層4棟を融合させる。敷地全体では約2.4万m2の緑地を生み出す。また医療施設を核に、フィットネスクラブ、フードマーケット、レストラン、広場、菜園など各種施設をメンバーシッププログラムによって連携させる。この街で住み、働くことが、健康につながる仕組みを構築する。

もう1つの「逃げ込める街」に

 六本木ヒルズでは、災害時に周辺の市民、住民を受け入れる「逃げ込める街」と呼ぶ取り組みを打ち出してきた。これは虎ノ門・麻布台プロジェクトにも受け継がれる。

 特に3棟の超高層タワーには、制振装置によって東日本大震災クラスの地震が起こった場合でも事業を継続できる耐震性能を持たせる。地震以外に風揺れにも対応する「オイルダンパー」をメインタワーに304基、西棟に267基、東棟に172基、低層棟に21基。粘性体の粘性せん断抵抗力を利用して建物の揺れによる振動エネルギーを吸収する「粘性体制震壁」をメインタワーに302基、西棟に288基、東棟に220基。柔らかく伸びる能力のある鋼材を使用した「座屈拘束ブレース」をメインタワーに1200基、低層棟に113基取り付ける、といった対策を予定する。

 また、メインタワーの地下にはコージェネレーションシステムと地域冷暖房施設を導入。各街区にも非常用発電機を設置し、災害に強い中圧ガスの使用によって、災害時でも街全体で必要な電力を100%安定的に供給する。

 以下では、都市開発本部計画企画部統括部長補佐・計画推進部部長の大森みどり氏に、虎ノ門・麻布台プロジェクトについて聞いた。